Please say to me |
「一緒に、ついてきてくれるか?」 物静かな図書室に、その声がやたらと大きく響いたような気がした。 人生で初めてだったろうか。それは紛れもなく告白。 しかも相手は佐久間君だ。帝国のサッカー部はなんだかいろいろずば抜けているからかそれが目当てでマネージャーを志望する女子が殺到しているとか。 未だに全員拒否しているらしいけれど。ある意味あの部活はエリートが揃いすぎてる気がする。 そして佐久間君もその一人である事は確か。だけど私は彼との接点があまりなかったはずだ。 …接点がなかったとはいえ、一目惚れをしていたが。 「わ、私、佐久間君とあんまり話したこと、ないし」 「俺はいつも苗字の事見てた」 図書委員の私は四六時中この図書館で本の貸し出しや整理を行っている。 ときどき、佐久間君の姿を見かけた事もあったし、本を貸し出す時に一言二言、会話とまではいかないけれど声を交わした事もある。 もしかしたら私の見ていないところで、彼はいたのだろうか。 「…えっと、私、佐久間君にその、一目惚れで」 「俺と同じだな。俺も一目惚れ」 少しずつでいいから、もっと彼を理解していこう。 お付き合いできるなんて予想外の展開に私の思考はついていくのがやっと。 「よし、婚姻届を出しに行こう」 「っささ佐久間君!?」 「―――なんてな」とおどけてふわりと笑う彼に私はペースを乱される。 赤面した顔を見せたくなくて俯くと、彼は言葉を続けた。 「もっと互いを理解して、その時がきたらそうしたい」と。 嬉しさで死にたくなった。 ――― 「一緒についてきてくれるか?」「よし、婚姻届を出しに行こう」と言われたい |