Please say to me

「俺はお前の事が嫌いだ」

突然の言葉でした。突然すぎて私は声も出せずにいました。
昨日まで、本当に昨日までは修也の家にお邪魔してた。
他愛のない会話を繰り返して幸せでした。
それが何故急に、それも突然こんな言葉を言うのだろう。

「鈍くて、間抜けで、落ち着きのない奴だしな」
「ど、うして…修也、なんで突然」
「前から思っていた事を言ったまでだ」

ぴしゃりと言い切られてしまい私はどうにも身動きが取れなくなってしまった。
修也の目が恐ろしいほどに冷やかだった。
その目を向けられているのは間違いなく自分だった。
気付いたら涙で視界が歪んでくる。さすがに悔しいというか、悲しいというか。

「修也は…っ私といるの、やだよね…そう思ってたなんて、全然知らなくって」

じわじわとしみを作り出すそれを必死に止めようと目をこする。
ふわりと修也の両手が伸びてきて私の顔を包んだ。

「お前は本当にバカだな。…今日はエイプリルフールだぞ?」

先ほどとは違う、柔らかな眼差しがこちらを見る。
じゃあ、あの言葉は全部嘘だということなのだろうか?私は目を丸くして彼を見る。

「でもお前が俺の言葉を信じてくれているのはよくわかった」
「言っていい嘘と悪い嘘があるよ、バカ…!」

ぐしゃぐしゃになった顔を包んで謝罪する彼は私の耳元で「好きにきまってるだろう」と囁く。

「嘘じゃないですか、今の言葉」
「エイプリルフールだが今の言葉は嘘じゃないぞ」

―――
「…今日はエイプリルフールだぞ?」と言われたい


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