Please say to me

そりゃあもう、面倒だった。中学というものは掃除するのにも分担が決まっていて何故かこのクラスは二人一組で放課後掃除をする事になっていた。
その分担を決めるのは学級活動の時間であり、面倒になってしまった私は挙手して一言、

「私、余ったところに入ります」

と言って机に突っ伏して寝る。学級活動なんてやることはない。つまり眠るには絶好の授業じゃないか。
他の授業はもちろんの如く真面目に受けて入る(成績という形で付いてこないのは報われない)。
これで落ち着いて寝られる…そう思った時、隣の席から元気のいい声が聞こえた。
そういえばこの間の席替えで隣の席、守になったんだっけ。
何を言い出すのか気になり、机に突っ伏したまま耳だけを傾ける。

「先生!名前と同じに変えてください!俺も余ったところでいいです!」

私の思考は一時停止した。まわりのクラスメイトの視線がグサグサと突き刺さるのを体で感じる。
守、さすがに幼馴染とは言えど私はもうフォローしきれない。
天然なのかバカなのか何も考えてはいないのか。どれも当てはまるのだろうと思いつつ、私はもう一度挙手して

「…先生、私保健室行ってきます」
「どーしたんだよ名前。大丈夫か?」
「だいじょぶ、一人で行けるから」

淡々とそれだけ述べて教室のドアを開ける。ひそひそと何かを呟く声がして私はわざと大きな音を立ててドアを閉めた。
ペースが狂う。私が守に随分前から好意を寄せている事を本人は知りもしないのだから。

―――
「先生!名前と同じに変えてください!」と言われたい


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テーマ「人外ファンタジー」
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