Please say to me |
休憩ですよー!春奈ちゃんの声が聞こえて私は急いでドリンクを持っていく。 タオルは準備した。ドリンクはこれを持っていって。そういえば昨日怪我してたのは誰だっけ? テーピング用のテープも出しておかないと。湿布が切れてたから今日あたり買い足しておかなくちゃ。 秋ちゃんと冬花ちゃんはお昼ご飯の準備でいないから現状としては私と春奈ちゃんしかグラウンドにはいない。 手伝いますよ、と声をかけてくれた春奈ちゃんのご厚意に甘える事にした。 「…っはぁ、暑いなぁ…」 「名前、お前の意見を聞きたいんだが…」 額の汗を拭き取っていると鬼道が紙を持ってこちらへと来た。 首に伝う汗がべたべたして少し気持ち悪い。タオルを片手に私は鬼道の話に耳を傾けた。 正直、体が火照って思考が上手く回らない。ああ、熱中症かな、そんなことしてる場合じゃないのに。 ひやりと冷たい何かが急に首筋に当たる。私は突然の感覚に声を上げた。 「っひ、ぁ!?」 「お前は頑張りすぎだ。もう少し自分の事も考えろ」 首に当てられていたのは氷水の入ったビニール袋。鬼道なりの配慮だろうか。 「チームのモチベーションも高まっているんだ」そう言った鬼道は私の意見が役立っていると言う。それを言われると私の知識が役に立てたのだと嬉しさが込み上げる。 「これもお前のおかげだな」 「そんな、大層な事私はやってないよ?」 「謙遜するな。胸を張っていいと思うぞ、俺は」 私は鬼道のお褒めの言葉を噛み締めて、ありがとうと一言だけ言った。 ――― 「これもお前のおかげだな」と言われたい |