Please say to me

「エスカバ、手合わせしようよ」
「は?お前この間ケガしてたんじゃねーの?」
「あれはもうすっかり回復しま…痛っ、痛い痛い離してエスカバ痛い!!」

前の訓練で捻ってしまった右手を掴まれて、あまりの痛みに声を上げた。
「何が治っただ、バーカ」そう足蹴にされてエスカバがご丁寧に湿布を手にしていた。
あまりの手際の良さに呆然とする。気付いた頃には右手には綺麗に包帯が巻かれていたのだ。

「手合わせはまた今度だ。さっさと治せよ?」
「…エスカバ、やっぱ良い人だよね」
「うっせぇ、バカ」

あれか、世間で言うツンデレってやつ。素直じゃないなぁ、エスカバ。
そんなエスカバが好きなわけでございますのでスキンシップをと。
私は有無を言わせずにエスカバの髪の毛をぐしゃぐしゃにする。

「っ、わ、名前!やめろっての!」
「エスカバ君はいい人だよねーよしよし!」
「いい加減に、しろっ!」

右手を掴まれて声を上げてしまったけれどなんだかエスカバがいっぱいいっぱいな感じで何も言えずにそのまま流される。
正直私もいっぱいいっぱいだ。なんせあのエスカバが私の肩を掴んでいるのだから。

「もっと考えろよ、お前は…」
「何をさ?」
「…冗談抜きで。」

我慢の限界だと呟かれた言葉の意味はなんとなく理解した。

―――
「…冗談抜きで。」と言われたい


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