Please say to me

テレビのモニターに張り付きながら私は声を上げる。
マネージャー候補、というか響監督に許可もらってついてきただけなのでさすがにベンチにまで図々しくはいられない。
こんなクソ暑い中あんな技を作るなんて…まぁ仕方ないか、豪炎寺中心だし。
ズゴゴゴゴ、なんて音を立てて口にしていたオレンジジュースが空っぽになるのと同時に試合が終わった。
ジ・エンパイアとの試合。円堂や鬼道、不動に佐久間の姿が見当たらないのはきっと。

「…影山に足止め食らったのかな」

深刻になったところで私に関連はないけれど、ちょっと複雑だった。
さてさて、私はそろそろ宿舎に戻ってくるみんなの為に準備しとくかね。
テレビを消して立ち上がる。お風呂とタオルの準備しなくっちゃな。

一時間くらい経った頃だろうか。お風呂のお湯がいっぱいになったのを確認をするために風呂場に入ると後頭部を突かれた。
いちいち私に突っかかってくるのはあいつだ、基山だけだ。

「ねぇ、今日の試合見てくれた?」
「見てくれたって…見るに決まってるでしょ?」

新しい必殺技、何だったっけ。グランドファイア?
とりあえずお前何抱きついてんの、作業できないじゃない。
「相変わらず冷たいよね、名前ってさ」なんて言われたけれどそれは君がしつこいからで。

「っ、もうしつこ…」
「君のハートにイグニッション!」

突然至近距離で私の胸の中心に人差し指で触れて呟かれた言葉。
「なーんてね」とにっこりと笑みを浮かべた基山の顔面にビンタした。
くそ、なんで私はこんな奴にときめいてんだ。

―――
「君のハートにイグニッション!」と言われたい


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