Please say to me |
「…分からない……!」 唸り声を上げながら私は必死に数学の課題に向き合う。 提出時間は5時間目。今は昼休み。間に合うかの瀬戸際なのだ。 鬼道や豪炎寺に頼ろうにも、「自業自得だ」と足蹴にされてしまい、円堂はというと「そんなことよりサッカーやろうぜ!」なんてお決まりの答え。あんただって課題終わってないでしょ!(鬼道と豪炎寺に強制的に連れ去られてしまったが) 「どうせお前、やろうとしたのに解けないって感じなんだろ?」 「か、風丸…!」 溜息をついて隣の席に座る彼に私は必死でお願いする。 「答え写させてとは言わないから、教えてくれませんか!」 「写さないんだったら別にかまわないぜ」 すげーマジで感謝!早速教わりながら最後の追い込みをしていく。解けない問題も風丸に聞いていくと少しずつ何とかなってきた。 「…結局間に合わなかったなぁ。結構頑張ったのに」 「あと1ページじゃ多めに見てくれるだろ。…それにしても席が隣でよかった」 「あれ、それ言うなら私じゃない?」 「だってこうしてお前に勉強教えられるの、俺の特権だろ?」 なんつー恥ずかしい事を言うんですか、君は。 気分を紛らわせるために私は最後のページにシャーペンを走らせた。 ――― 「席が隣でよかった」と言われたい |