今日は監督達が出かけてしまう事もあって午後からは自由に時間を使って休め、とのことだった。

私はしばらく行ってなかったお店に必要なものを買いに行く。その帰りに買ったキャラメルマキアートを口にしていると私の隣に不動君が腰掛けた。ちょうどばったりと会ったのだ。

不動君とは小学校のクラスが全て一緒で所謂腐れ縁。私は卒業してから上京し、ここ二年は彼に会ってはいなかった。真帝国学園の選手として、雷門と戦うという最悪の形で再会したけれど、彼は全く変わっていなかった。

彼が今こうして東京にいるのはFFI代表に選ばれたから。雷門イレブンは真帝国の一件と彼の身勝手で傲慢な態度が災いしてか、あまり近付く事はない。

(不動君、根はすごく優しいのに。)

呆然としているといつの間にか手にしていたカップを取られ、私は声を上げる。彼は何の戸惑いもなく、平然とキャラメルマキアートを口にしたのだ。

「あ…」

「甘ったりぃな」

そう一言告げた彼は仏頂面で私にカップを返す。…間接キス、だ。私だけ妙に意識しているのが少し悔しくて、不動君が口づけてしまったカップに残るキャラメルマキアートを飲み干した。