正直言うとかなり重症だと、自分でも思った。へらりと笑っているのも、しどろもどろして混乱してるのも、泣いているのも全部が全部好きでやっぱり名前が好きだという根本的な事実に繋がる。

寂しがりなのかと言われてそれが当てはまってしまう事が気恥ずかしく思えてデコピンかましてやった。…環境的にも、確かにそうだったのかもしれない。常に上を目指さなくては見返す事が出来ないから。ふと母親のあの時の言葉が脳裏に浮かんだが深くは考えない事にする。

「なぁ、お前は」

キスせがんでも嫌がらねぇな。そう言えばベッドに腰掛けたままの名前は枕を抱きかかえて顔を埋める。「不動君の、バカ」、そう言ったのが確かに耳に入ってどうせ照れ隠しなんだと思った。瞬間、背後から感じる温かさと回される腕の力。やけに心地よく感じて思い知らすかのように脳を支配する感情。

「抱きつくのが精一杯だから、せがまれないとできないんだよ」

ぼそぼそと呟かれる言葉で一気に熱を帯びる。ああ、うぜぇ。いつもいつもペース狂わせて、ぐちゃぐちゃに思考を乱される。好きだと呟けば微かに笑みを浮かべる。その表情は俺を安心させる何かを持っていて、甘えたくなって仕方なくなる。

キスした数だけ惚れ込んでしまうのが馬鹿らしく思えたがそれでもこいつ相手ならいいんじゃないかと思ったのも事実。