距離は半径1メートル以内。現状、タルタロスが大きく揺れた為、

「痛…ったた…イオン様、大丈夫ですか?」

突然の大きな揺れにバランスを崩したイオンを支えた私はそのまま倒れてしまい壁に強く背中を打ちつけてしまった。イオンを抱え込むような体制のままイオンの安否を確認する。何処か痛めたりはしていないだろうかと彼に問う。正直に言ってくださいね、と前もって釘を刺しておくとイオン様は渋々といった様子で腕が少しと呟いた。

どうしよう、とりあえず何か簡単に処置しておいたほうがいいだろう。

「その、イオン様、立ちたいので少し離れてくださいませんか?」

言葉を紡いでいる間、自分たちがどういった体勢になっているのかに気がつく。気付いた私は急激に心拍数がどんどん上がっていくような感覚に陥っていた。

「…あの、私。もう少しだけこのままじゃ駄目ですか?」

そんな上目遣い気味に言われたら断れるわけなんてない。全然大丈夫じゃないのだ。危ない、出来るなら距離を置きたい、けれど。溢れる感情にしどろもどろしていると顔が熱くなった。目の前にはイオン様の顔。あれ、どうしよう歯止めが効かな、気がつけば私はそのままイオン様の唇にキスをしていた。当たり前だが驚いた様子でいるイオン様を見た私はなんて事をしてしまったのだろうと自己嫌悪に陥る。

恋人でもなければましてや上司。最高地位の彼。ああ、なんて事を!

「す、すみません!ああ、もう私っ」

「…いいえ、構いませんよ。だって僕は、」

触れる唇が熱を帯びた。あれ、あれ。今どうなってるの?イオン様が私に。もしかして、もしかするとこれは。

「両思い、ですか…?」

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