※本編ネタバレ注意


二年前に、はじめてあなたと導師守護役としてアニスと一緒に出会いました。それとともに強制的ではあるけれど一緒に過ごして、一緒に笑った。

会ったばかりのイオン様の行動や仕草は誰かに決められたり、意見されたものをそのまま映すようだったのに。彼は自分の意志で旅をすることを選び、今まで知っていた狭い空間の外…この広い世界を見渡した。

「イオン様があのままダアトにいたら何も知らなかったんじゃないかな」

「そう、かもね。これからもずっと…そばにいられると思ってた。それが当たり前なんだ、って。でも…」

私が、イオン様のその可能性を失わせちゃったんだ。弱々しくつぶやいたアニスの声は涙交じりだった。

「消えちゃったけれどきっとイオン様は多くを知ったんだよ。自分は誰かの代用品じゃない。レプリカだってなんだって自分は自分なんだってさ」

ぱたぱたと、私の瞳から溢れる涙は頬を伝って零れていった。甘えていたのは私のほうだった。あなたの存在が消えてしまってからは穴があいてしまったように辛い。ひどく、酷だ。

――ファースト、あなたに会えてよかったです。ありがとう。

消えてしまう間際に言ってくれた言葉が、全身に沁み渡っていく。

「…イオン様」

私たちには見えていなくても、あなたはすぐそばにいてくれていますよね?私は走る足を止めて後ろを振り返る。誰かが、笑っているような気がして。ふわりと目の前に見えた光がイオン様のように見えて、私は笑った。

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