イオン様はアニスが好きなのだろうか。そもそも自分とイオン様はそれなりに歳も離れているし主従関係に近いものだし。ああ、それはアニスも一緒か。

年下を好きになる事なんてないと思っていた。頭の中ではそんな思考がぐるぐると回っている。みんなが出かけているため、一人きりの部屋。ベッドに寝転がりながら自問自答を繰り返していると部屋の扉がノックされた。扉の向こうに立っていたのはイオンでにこにことした笑顔をこちらに向けてくる。

「ファーストが残ると聞いたので、僕も留守番することにしました」

私は部屋の窓際にあるテーブルとイスのところへそう言ったイオンを誘導して紅茶を出す。毒だ。今の状況は毒としか言いようがない。何処かへ行って距離を置きたいけれどそうしたらイオン様が一人になる。早く帰ってこないかと考え込んでいるとふとイオンの言葉が耳に入ってきた。

アニスの名前に動揺してしまう自分が嫌だった。何を意識しているの。ただ単にアニスの名前を出しただけじゃない。でも、もしかしたらイオン様はやっぱり。変に心臓の音がうるさい。ばくばくと脈を大きく打つ。止まれ、止まれ。

「顔が赤くなってますけど熱でもあるんですか?」

顔が紅潮している事に気付かれてイオンは心配そうな表情で私の顔を覗き込む。近くなった距離に先程より心音がもっと音高く、大きくなっていくような気がしてならない。冷静さを装って笑ってはみたものの笑えていたのかなんて心配をする余裕はない。

ああ、今すぐ止まれ、この動悸!

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