目の前には二人の人影。ディストとファーストであろう。僕はディストの部屋に散らばる資料を踏まないように足元を気にして俯いたまま進んでいく。

「ディスト、ヴァンが呼んで…」

「げっ、シンク」

ディストに呼びかけた時に顔をあげてファーストと目が合う。いつもなら僕より大きなファーストの背丈がかなり縮んでいたからだ。今目の前にいるファーストの背丈は僕よりも小さいくらい。いつものあの空飛ぶ椅子でかなりのスピードを出して部屋を飛び出したディスト。そのせいで起こった風で書類の束が部屋中を舞った。

「いいじゃん、大女だったんだしさ」

「だからディストに頼んでちょっと縮めてもらおうかと…ってアイツに頼むのがそもそも間違いだったか、そうか納得」

納得は勝手にしたみたいだけど不満気な顔をしてしょぼくれているファーストを僕はそばにあった椅子に座りながらじっと見ていた。

「今まで私がシンクを見るときに見下ろすような感じだったのにさ。…シンクに見下されてるみたいで悔しい」

…呆れるよ、本当。その程度でこんなにしょぼくれるなんてさ。ちょっと意地悪してやろうとふと思いついた。

「いいワケないから言って、っ」

僕を怒鳴りつけようとしたファーストに不意打ちのキスをする。思った通りファーストは僕を見て固まったままでそれを見てくすりと笑う。

「こうやって僕が背伸びする必要もなくなったわけだし」

「あ、んたねぇっ!ふざけてんじゃないわよバカくたばれ!」

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