こんな醜い生を受けなくてすんだんだよ

前にもその前にも同じことを何度も彼は繰り返した。造られた命だから、誰かの代わりの代用品でしかないから。

「どうせ僕は利用できるから生きさせてもらっているだけなのさ」

「その話、昨日も聞いたわよ」

彼らを、ルーク達を見て既に気が付いているはずだ。ルーク、イオン…二人もシンクと同じレプリカ。でもそれぞれに違う考えを持っている。それはシンクも同じことだ。代用品ではなく、シンクだって確立された存在のひとつなのだから。

人には見えていないものだから、得たものだとは思わない。それだけど人はいつの間にか得ているものなんて無数にあるだろう。知識も、感情も、感覚も。当たり前に得ているものだから。

「シンク、好き」

シンクがきょとんとした様子で私を見る。どうしたのさ、と言われた私は言葉をつづけた。

「これも、この感情だって得たものの一つなんだよシンク」

その声には躊躇も迷いも何もなくて、ただ澄みきった声が言葉を紡ぎ合わせていく。醜い生なんかじゃないのだろうか、と呟いたシンクにそれを決めるのはあなた自身でしょうと私は答えた。

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