じりじりと熱気が当たって汗が滲んでいく。砂漠の中を歩いていてちょうどいい具合で見つけた小さな泉でしばらく休む。随分休んだし、もうそろそろ出なくちゃいつまで経っても佇んでしまう。そろそろ出発しようということになり、私は泉から足を出した。

歩き始めて一時間ほどが経った頃だろうか。エステルの足取りがふらふらしていて顔色もあまりいいとは言えなかった。少しだけ青ざめているような感じさえする。
声をかけて、手を貸そうと自分の手を伸ばしたのと同時にエステルへと向かって伸びた、ユーリの右手が見えた。ユーリがエステルを支えながら歩いている。それを見ていると…なんだかもやもやした。

「ファーストは甘えないのかしら?彼に。」

ジュディスはくすくすと笑ってそう言う。きょとんとしている私は何のことなのかあまり理解できなかった。

「とってもうらやましそうに見てるんだもの、二人のこと。たまには甘えてもいいんじゃない?」

そういう関係じゃないとしても、ね?なんてジュディスが言う。耳元で囁いたジュディスは私に向かってウィンクをした後、素早く先に行ってしまっていたメンバーを追いかける。

「な、っにがよ!ちょっと、待ちなさいよジュディ!」

しばらくの間歩き出せず立ちすくんでいた私はギャーとでも言うようにそう告げた後、赤面しながらも急いでジュディスを追いかけた。

「そんなに騒いでるとこの先持たないわよ?ファースト」

「うるさい!ジュディが悪いんでしょっ!」

甘え方を知らないから甘えるなんて無理なのよ。心の底でそんな本音を呟きながら。

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