※ED後の捏造話


長い長い、予想もできなかった出来事に巻き込まれたことで始まった旅が終わってしまった。魔導器はもうテルカ・リュミレースには存在していない。私は旅の経路を思い出しながらダングレストの小さな部屋の窓から空を見据えた。

街中ですれ違ったカロルと一緒にぐるりと街を回っていく私は橋の中心で足を止めた。背後からした、懐かしい声がする。私とカロルは素早く振り向くとそこにいたのは黒髪の青年。

私とカロルはユーリの名前を呼ぶと同時にユーリに抱きついた。いきなりの事でバランスを崩しかけたユーリは足を踏ん張って何とか二人を受け止める。

「なんだよいきなり!お前ら離れろってっ」

私とカロルはそれぞれの不満を一気にユーリにぶつける。ユーリはたじろいで悪かったと言って私とカロルを引き剥がした。

「ねぇカロル。私も凛々の明星に入りたいなって思ってるんだけど…」

私は騎士団でもなければ凛々の明星でもない。だから何かの輪に入ってみたかった。ユーリと一緒に、少しでも長く居たい。そういう理由も一つだけど。

「一緒に居たい、ってことかそれ」

やっぱりユーリにはかなわない。いつも自分の意図がすぐにばれてしまう。彼の意図を自分はよく理解できないのにずるい、と心の底で思いながらおずおずとユーリの表情を窺う。ユーリはそんな私を見て笑いを堪えているような表情をしては背を向けくすくすと笑いだした。

「ユーリってほんっと意地悪!笑わないでよっ」

「悪ぃ悪ぃ。お前って変なところで積極的っつーかな」

そう言われた私はますます顔を赤く染め上げた。紅潮して熱のこもる頬に次第に苛立つ。服の袖で口を覆うようにしてユーリから視線をそらした。

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