城の中が騒がしい。ドアに静かに近づいて耳をすませる。動く度に響く重たい鉄の音、かなり急いでいるような足音の数。――そこから微かに聞こえた、団員の叫び声。

「なんで城内で内乱なんか始めているの…!?」

「ファースト!今の君はここで待っ…―――!!」

私は折れている左腕のことなど忘れたかのように怪我をしていない右手で剣を取り、部屋を出て行った。数日前に左腕は不注意で折れてしまっているが右腕があればなんとかなるだろう。

「ファミリー!――覚悟っ!!」

茫然と斬られてしまった隊員の山を見ていた私の背後から襲いかかってくる団員。その殺気に気付いていた私はすぐに剣を引き抜き、柄の部分で鳩尾を思い切り叩きつけた。
よろけた団員に追い打ちをかけるように回し蹴りをして床へと叩きつけた。

「何がどうなっているの…教えなさい」

もう一人の隊員が私の背中を斬ろうとしていたのに気が付かなかった。振り下ろされた剣は鉄同士のぶつかる、独特な音を出す。

「君は自分の置かれている状況を理解しているのか!?」

久しぶりだった。ここまで怒りの感情を出したフレンを見たのは。あまりもの突然のことで驚きを隠せない。

「ごめんなさい、でも待ってもいられなくて…」

「…なるべく一緒に行動してくれ。もしものことがあったら…」

フレンはそこで言葉を留めた。もしものことがあったら何なのかと私はフレンに問う。その問いに何でもないとフレンは答えて足を進めた。私もそれを追うように走り出す。走り出した時に私はぼそりと呟く。

「本当に、頼りになる奴なんだから」

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