フレンは一日中城内でエステリーゼを探し回って相手までして…それが最近ずっと、ずっとだ。エステリーゼが悪い子ではないのはわかってる。フレンもただ切実に護衛任務をこなしているだけ。それは理解しているのだが、何故こんなにも腹が立っているんだろう。 次の日も、また次の日も。フレンはひたすらエステリーゼを探している。エステリーゼのお相手をしている時はそうは思わないのだけど。仕事に私情を挿むなど何をやっているんだろう。 訓練場で少しの間瞑想してから訓練を始めるのだが、瞑想の途中に誰かが入ってきた。見当は大体ついている。どうせいつものことながらフレンであろう。 「最近僕に対して怒ってるのか?」 フレンの問いに私は無言だ。その質問を無視してはどうせ今日もエステリーゼ探しでしょと冷たくあしらうような言葉を返す。瞑想を終えた私は近くにあった練習用の剣をフレンに向かって投げつけた。 「たまには付き合ってよね」 そうぶっきらぼうに言った私は剣を引き抜き、フレンに向けた。その行動にフレンはしぶしぶと剣を引き抜いて対等の位置まで近付いた。 「ひとつ聞いてもいいか?」 「何よ聞きたいことって」 「もしかして妬いてるのかと思っ…」 「妬いてなんかないわよ自惚れんなバカ!」 言いかけた言葉を遮るように言った後、私は突然踏み出してフレンの腹を至近距離で一発殴った。いきなりの衝撃にフレンは小さく呻く。 「いきな、りはなし…」 腹部を抑えながら言ったフレンに対して自業自得だっての!と怒鳴りつけて訓練場を出て行った。その時の私の顔はほんのりと赤く染まっていて。 「…図星、だったんじゃないか」 座り込んだフレンは小さく笑ってそう呟いた。 |