ああ、今日も世界は廃れてる。ぐちゃぐちゃにされたプリントに引き裂かれたノート。
机に書かれた文字の内容は実に幼稚だし、ご丁寧に油性マジックの殴り書き。…馬鹿馬鹿しい。
バッグの中に入れたままにしておいた除光液を机の上にぶちまけてティッシュで擦る。
誰もいない教室の隅の席。私の机というこのエリアだけが異質な雰囲気だ。
軽い音が響いて教室のドアが開く。さらりとした綺麗な青い髪の毛が顔を出した。

「君は、風丸君だっけ」

「何してるんだ、お前」

「いじめっていう幼稚な遊びの標的になってるだけさ」

みっともないところ、見られてしまった。
それだけで嫌悪感は十分というほど感じてる。私はバッグを手にとってすぐに立ち去ろうとした。
とりあえず言っておこう。彼はあの円堂君と幼馴染みだからきっと世話焼きなタイプだろうし、それに。

――同情されるのは、もう飽き飽きだ。

「ひとつ忠告しておくけれど、私に関わらないほうがいいと思うよ。…あんたのいるところとは次元が違う」

疫病神と人気者じゃあ格の差がありすぎるんだ。
教室を後にしてから思った。…ああ、片付け途中。