「ひっ、くしゅん!」

あー…やばい。この間の雨で出来た風邪ウィルス出始めたかも。
鼻水の量酷いし声枯れてきちゃったし。無我夢中に練習しないでさっさと切り上げればよかったなぁ。

「ちょっとやめてよ疫病神ぃ、アンタのウィルス感染しちゃうじゃん!」

「うわ、うつりたくなぁい!」

ほらほら、殺菌しておかないと!保健室から持ってきたのか手にはアルコール消毒液のボトル。
わざわざごくろーさま。頭の上から直にかけられてアルコールの臭いが制服に染み付いた。
…どう、しよう。本格的に、寒い。熱ないかと思ってたらあったんだ。
集会終われば帰れるし我慢…5分くらいで終わるはずの集会が異様に長い。
定まらない足取りで階段を下りる。息苦しい。体の力が一瞬緩んで段を踏み外した。
宙に浮く体。やばい、落ちる。それと同時に感じた、手を引かれる感覚。
あまりの展開に私は鼻で笑ってうなだれてしまった。

「タイミング、良すぎ…るよ…風丸君…」