ぱちぱちと音を立てて、色とりどりの光を放つ。夏の風物詩と言ったらやっぱり花火だ。土門とディランは買出しで居ないから私と一之瀬とマークだけで。マークは初めてなのか分からないけどすごく目をキラキラ輝かせている。 名前、名前!マークの声が聞こえてくる。振り返るとマークは両手に二本ずつ花火を持ちながらこっちに駆け寄ってくる。危ないよ、と注意すれば肩を落としてすまないって一言。本当にマークは素直だ。 「名前、ちょっとそこで目つむっててー」 「な、何よ一之瀬…つむってればいいの?」 もうちょっと待っててねなんて気楽な声が耳に届く。随分と時間が経ったように感じた頃、開けていいよって一之瀬が言う。目を開けると一之瀬とマークの姿はなくて私はちょっと不安になる。どうしちゃったんだろ。一之瀬、と名前を呼ぼうとした瞬間、バンッ!なんて近距離で破裂音。私を囲むように並べてあった打ち上げ花火が打ち上がった。 「ぎゃああああああああああああああっ!?ふ、ふざけんなバカ!死ね一之瀬!」 「すまない名前、許してくれ」 「マークも共犯かああああああああ!!」 「名前空見て!」 み、見てどころじゃない!そんな事を思いつつちょっと泣きべそかきながら空を見ればまるでこっちに降り注ぐように見える花火。綺麗で、茫然としちゃって、なんかさっきまでの嫌悪感まで吹っ飛んだ気がする。 「…またさ、今度もこうやってみんなで出来るといいね」 そう呟くと二人がぎゅーって抱きしめてくれた。 |