いつもどおりにみんなの練習が始まって、それと同時に私も休憩のときの準備を始めた。ドリンクも作らなくちゃならないし、洗濯物とそれからお昼ご飯の準備。何だかんだ言ってやることはたくさんあるけど夏未ちゃんと二人でならなんとかこなせるはず。ちょっとだけ息苦しく感じたのはきっと砂埃を吸い込んだせいだろう。ケホンとひとつ咳をした。 気がついた頃にはどうにか全ての準備が終わっていて私は一息ついた。そういえば救急箱の中、足りないものとかあったかな。監督がみんなに声をかける。時計に目を移せばもう十二時。私は急いで中身を確認して足りないものを取りに宿舎へと入った。 「包帯と、消毒液とそれから…」 忘れないようにと呟きながら廊下を歩くと背後から声をかけられた。ロココの声。しかもちょっと焦り気味な感じで。 「名前、自分の体調管理できてる?」 「え、多分…?」 嘘つき、そうロココが呟いて自分の額を私の額にぴったりと当ててくる。至近距離のロココの顔に私は動揺を隠す事が出来ない。その瞬間、一気に体の熱が上昇していくような、そんな感じがした。 「熱あるよ、やっぱり!」 ぱっと、ロココの額が離れてそう言った。そんなことないよ。そうやって否定しようとすれば出る咳。体中が熱い。ロココの言った通り、体調管理できてなかった見たいだった。 「名前は無理しすぎだよ、夏未には言っておくから」 そう言って笑う彼を見るとこれは熱だけのせいじゃないような気もした。(ロココも原因だよ) |