怖いよ、怖いよ名前。いつ見捨てられてしまうか分からないんだ。名前は俺を見捨てたりしないよね?ずっとそばにいてくれるでしょ? ――だい、じょうぶ。ずっといるよ、グランのそばに 名前の声が耳に届いてほっとする。ああ、俺は君がいないとダメみたいだ。でももう君は俺の中にいるのにね。声も聞いてないとダメ。ほら、よく言うでしょ。淋しくなると死んじゃうって。あれって俺の事だと思わない?それにしても君の肌は今日も真っ白だね。すごく綺麗。ひんやりしている手がすごく気持ちいいよ。ね、名前。君の右腕は赤いね。ああ、そうだった。俺がいっぱい所有印つけちゃったんだったね。ごめんね。俺の名前を呼んでよ、抱きしめてよ、それだけで幸せになれるから。見捨てられちゃうのは怖いよ、苦しいよ。だけどそれも全部君が埋めてくれるでしょ? ――グラン…私はね、 信じない、俺は信じない。だってこうして話しかけてくれるじゃないか。そばにいてくれるじゃないか。他人よりちょっと冷たいだけだよ。ずっといてくれる。俺には君しかいない。死んだなんて嘘だ、名前、助けて助けて、苦しいよ、何で君も俺を見捨てちゃうの、死んでない。名前は生きてる生きてるここにいるよねぇどうして、声も聞こえるのになんでこんなに冷たいの、目を開けてよ。 「グラン、名前はもう、」 「やめとけガゼル。…あいつにはもう、聞こえねぇよ。名前の幻聴にしか耳を傾けねぇんだ」 幻聴だなんて信じない。名前は俺の一部だ、ずっといる。俺の血液の半分は名前のものだ。そうでしょ、名前? |