私の家から雷門中までは結構離れてるからいつも電車に乗ってくる。 今日も彼に会えるんだ。 そう思っていた頃の私の足は軽かったはずなのに駅のホームを駆け上がる足取りは重くて、重くて。 どうしたらいいんだろう。わからないよ。私は、何がしたいんだろう。 日本代表のマネージャーとしてずっと近くであなたの事を見ていたから。 まっすぐな目に惹かれて、いつの間にか私は好きになってた。 ああもう、早くアジア予選なんかさっさと優勝してライオコット島にでも行っちゃえばいいのに。 そうしたら…私はこのまま、日本に残れば。マネージャーなんて辞退しちゃえば。 幸せだったなぁ。短い間だったけれど。 「大好き、だったよ」 駆け上がった駅のホームの中心でぽつりと呟く。 別れ際にされた、最初で最後のキスは私の涙の味しかしなかった。 |