『ぁ、もしもし、吹雪君?』

ケータイ越しに懐かしい君の声が響いた。日本代表になってから試合の時にしか会う事の出来ない彼女。マネージャーとしている事は出来ないらしくてこうして電話でしか話せない。

元気にしてた?無理はしてないよね? 僕の事を心配してくれているらしくて何度もそう問いかけてくる。大丈夫だよ、無理なんかしてないから。そう言えばよかった、と嬉しそうな声が返ってくるのだ。

『ねぇ、吹雪君。あのね、今窓の外見てくれないかな?』

「窓の外?どうして?」

星がすっごく綺麗だったから…東京はどうかなって聞きたくなって。彼女の頼みを叶えてあげたくて僕は静かにカーテンを引いて窓を開ける。少し身を乗り出してみると下のほうから声がした。

「次の試合まで待ってられなくて、遊びに来ちゃった」

親にも内緒で来ちゃったんだよね。笑って手を振る声の主に、僕も笑って手を振り返した。


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