細い喉に手をかけるのはとても容易なことだった。
力を込めれば数分としないうちに彼女は息を止めるだろう。
馬乗りになったまま、彼女の首筋に手を滑らせる。
むしろ真っ赤に染め上げたほうが彼女にはお似合いだろうか。

君が嫌いなわけではないんだ。誰にも取られたくないし、君がヒロトとか代表メンバーに見せる笑顔がもったいなくて、それで。

「リュウ、ジ」

ぽたりと彼女の頬に雫が一粒だけ零れ落ちた。全身が一気に熱を持つ。
ドクドクと心音が騒ぎ出す。汗が落ちたかと思ったが彼女の手がそっと俺の頬をなぞった。

「殺したくなるほど、私が嫌い?」

泣いているのは俺のほうだったのだと今更気がつく。

「逆だよ、大好き、なんだ」

そう呟いた俺に、彼女が笑いかけることはない。そうして壊れていくんだ。思いすぎた現実は互いを殺す糧となった。

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