窒息しそうなくらい長い長いキス。幸せな時間だなぁなんて思った。
酸素を吸い込む為にうっすらと唇を開けても彼の舌によってそれは阻止される。
でもさすがに苦しくて頭が真っ白になりそうだった。
カシャン。小瓶が彼の手から滑り落ちて、それと同時に口元が少し痛む。
やっとの事で唇を離してくれた彼がどんな顔をしていたのかはよく分からない。

「っぁ、び、よんぅ…」

彼に噛みつかれた口元がピリピリと痛む。

「なぁ、…少し先にいっててくれないか」

すぐにいく。彼はそう言って私の首筋に顔を持っていく。
喉元に触れる彼の息さえとても熱く感じて、彼は私の喉を千切ろうとでもするような勢いで噛みついた。
ドクドク。全身が脈打ってる。びちゃっ。私の血が彼の肌にこびり付く。

ああ、でも痛くない。
先程の小瓶の中身が鎮痛剤であると気付く。
そんな常識を外れた優しさに涙が滲んだ。
涙の本当の意図は死への恐怖だったのか、幸せだったのかなんて分かりはしない。

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