雨の中で


財ユウ





「うわぁ…最悪や」


一人学校の下駄箱でポツリ
…なんや虚しいなぁ…
ってちゃう、そんな事はどうでもえぇ
問題はな、この雨や。俺今日傘持ってきてへんぞ

ちゅうか朝のニュ−ス
晴れっていうてたやんけ!!嘘つきめ…


「どないしよう」


一人でう-んって唸ってたら
遠くから足音が聞こえた


「…」


だ、だ、だ…誰やねん!
姿を確認したくても、もう人気のない学校
廊下は真っ暗で何も見えない


「―っ」


ま、ま、ま…まさか
おばけっ…!?って…んなわけ


…すると誰かから肩をトントン
と叩かれた………で、で…で…


「でたぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

「!Σ」


俺はその場に蹲ってガタガタと体を震わせる
いやぁぁ!!助けて!小春ぅぅぅう!


「……ユウジ先輩なにしとるんスか」

「……ほぇ?」


あれ…聞いた事ある声
恐る恐る顔を上げるとそこには光の姿があった


「ひ、ひ…光!!」

「…ちゅうか…でたってなんですの?
 人をおばけみたいに…」

「な、な、なんでおるねん!!」

「…話し聞いてます?………俺は今日
 図書委員やったんスけど、図書室で寝てて
 気づいたらもうこんな時間だったんスわ」

「…そういや、おらんかったな」

「…で?ユウジ先輩はなんでココにおるんスか?」

「………部活終わって携帯ない事に気づいて
 教室行ったら先生に掴まってプリント整理するの手伝わされて
 んで帰ろうと思ったら…雨降ってて…それで…」

「…そうスか」

「おん」


………あぁ〜ほんまどないしようかな
この雨…絶対にびしょ濡れで帰ったらおかんに
むっちゃ怒られし…かといって他のやつの傘
パクんのもあかんしなぁ…う-ん…


「…なにユウジ先輩、一人でブツブツ
 いうとるんスか…ってか帰らないんスか?」

「―――っえ;」

「………どうせ傘忘れたんでしょ?
 せやから一緒に帰りましょ」

「……えぇの?」

「えぇに決まっとるやないですか
 それともなんです?濡れて帰りますか?」

「嫌や!!」

「せやったらはよ行きますよ」

「おん!!」


いうて光の傘の中に入れさせてもらった


「貸し1っスわ、ユウジ先輩」

「貸し1っ!?そん位で!?」

「………嫌なら出ていってもらってもえぇっスよ」

「…う゛っ……い、いい…」


このドSが!!ちょっと入れさせて
もらっただけで貸し1ってなんやねん、ほんま!!

頭ん中でいろいろ
考えとったら光が俺の名前を呼んだ


「ん〜…?」


振り向いたら目の前に光の顔が広がった


「…」

「コレでチャラっスわぁ」

「…え?」

「先輩可愛えぇ」

「……………っ!?」





キスされたと気づくまであと5秒






→ お題