嬉しくて



謙光




部活で忙しくてなかなか
お互いゆっくりできる暇なんかなくて
それでようやく休みの日に謙也くんの家に
遊びに来れた。こんな事いってやらんけど
誘われたときはむっちゃ嬉しかった



「俺、なんかジュ-ス持ってくるから
 くつろいどってえぇよ」

「…うん」



っていって謙也くんはキッチンのほうにいって
俺は謙也くんの部屋へと向った
なんか…久々やからむっちゃドキドキする
柄にもなくなんか知らんけど心臓バクバクいうて
顔が真っ赤になって謙也くんの部屋のドアを開ける


ガチャ


「…」


中はあいかわらず綺麗にされとって
机にはこの間だ撮ったプリクラが貼ってある


「…なんでこんなとこに貼るねん」


むっちゃ恥ずかしいやんかっ
…せやけど…ちょっと嬉しい
辺りを見渡せばいろんなのが飾ってあった
例えば…俺があげたブッサイクなぬいぐるみとか
それは謙也くんと初めてデ−トした時に
ゲ−ムセンタ−に寄って俺がUFOキャッチャ-で取ったやつ
わざとブッサイクなぬいぐるみをとってプレゼント
してやろうって少しいたずらしてやろうって思って
あげたら「わっくれるん!?ほんまにっ??おおきにっ!」
ってキラキラした笑顔でそれを受け取った

「…そんなブサイクなぬいぐるみ貰って嬉しいん?」

「おんっ!やって光から貰ったんやもん!
 どんな物でも嬉しいで!!」

「…そ…っスか」

「おん!ほんまおおきにな!光っ!!」

っていわれたときは本当に
嬉しかった、まさかそんな事いわれる思わんやん?




ガチャ


「光〜持ってきたでぇ〜…ってなに突っ立っとんの?」

「…や、別に」

「―っあ、そのぬいぐるみ覚えとるか?
 初めて光とデ−トしたときに光から貰ろうたやつ!」

「…うん」

「あの時はほんまに嬉しかったで
 幸せすぎて死ぬ思うたもん」

「…大袈裟っスわ」

「そのぐらい嬉しかったんや!」


っていって謙也くんは俺を抱きしめた
…謙也くん、俺も…俺から貰ったやつなら
どんな物でも嬉しいっていってもらえて
むっちゃ嬉しかったで




俺はそっと手を腰にまわし抱きしめ返す