ひかけん




「財前くん」

「なに」

「コレ…謙也先輩に渡しとってくれん?
 財前くん、謙也先輩と仲がえぇでしょ?」


って顔を赤らめて
俺にキレイにラッピングされたさっき家庭科の
時間に作ったカップケ-キを手渡された


…なんで俺が渡さなあかんねん


「ダ…メ…かな?」

「…………………別にえぇけど」

「ほんまっ!?じゃよろしくね
 財前くんっ!」


っていってどっかに
走っていってしまった


「…」


あぁムカつく、ほんまムカつくわぁ…
なんで俺が渡さなあかんねん
そら、俺は謙也くんとは仲がえぇよ?恋人やし
せやけどなんで彼氏の俺がこんなもん謙也くんに
渡さなあかんねん。大体なこんなの渡して
謙也くんの彼女にでもなれるとでも思っとんのか、あの女
なれるわけないやんか、やって謙也くんは俺にゾッコンやし
俺も謙也くんにゾッコンやもん。誰がお前なんかに謙也くんを渡すか


手にそれを持って学校中を
プラプラする

なんでかって?
謙也くんにコレを渡さないため
渡したら絶対に謙也くん、優しいから
お返しとかそんなんする。…絶対に嫌や


………さぁコレをどうするか


と思って歩いていたら
―あいつがいた



「あっ光!」

「…遠山」

「…………ん?なんかいい匂いがする!
 ―――って、あ!光、手にもっとるやつなん!?」

「……カップケ-キ…?」

「カップケ-キっ!?えぇなぁ!!ワィも欲しい!!」

「…」



そうか
コレ…こいつにやったら
えぇんか………うん、欲しいならしゃ-ないな



「遠山」

「ん?」

「コレ、いるか?」

「……っえ!えぇの!?」

「えぇよ」

「おおきに光!」



と俺の手から取って
ペロリとたいらげた



「美味かったぁ!おおきになぁ光!!」

「そうか、よかったな。ほな」



と遠山と別れ
屋上に向った








屋上の扉を開けると
奥に金髪の頭の奴がヒョコヒョコ
動いてるのが見えた


「…可愛えぇ」


こんな金髪で可愛えぇのは一人しかおらん
からすぐわかる


「謙也くん」


名前を呼ぶとバッと勢いよく
振り返って俺の姿を確認すると
パァァァァァと笑顔になった

(やばいっ)


謙也くんは顔を少し赤らめると

「光…はよっ」

って俺を手招きした

「どないしたん?」

「ん〜ん…なんでも」

謙也くんの傍によると
ギュっと俺を抱きしめた

「…」

「……光の匂い落ち着く」

「――――っ!」

俺の胸に顔を擦りつけて
フニャっと笑う


あかんあかんあかんあかんっ


「そっ…ス、か」

「ヘヘっ光…好き」

「――っ」


どないしたん?ほんま…
いつものヘタレはどこいったん?

目を見開きビックリすると


「………俺、か…てたまには甘えたい
 ん…やっ…悪いかっ///」


っていってまた顔を
真っ赤にした


「可愛えぇ」


いうて頭を撫でたら
ドアがガチャっと開いた音がした


「……っ!?
 ひ、ひか……ひかるっだ、誰か
 誰か…き、来た…っ」


ビクっと体が震えて上目使いで
心配そうに見てくる

(……あかんやろっ)

それを頭を撫でながら「大丈夫やから」
っていってやる

謙也くんはコクンと頷くと
ギュっと抱きしめる力を強めた









「ねぇ、さっきのカップケ-キちゃんと渡したの?」

「うん。財前くんに頼んだ」

「あぁ…謙也先輩と仲がえぇもんね。それじゃよかったね」

「………うん、財前くん優しいから渡してくれてると思う」

「そっか、じゃ今頃…食べてるのかもよっ」

「えっ…あっどうしよう…恥ずかしいっ!!」








遠くのほうから聞こえてくる
女たちの声は嬉しそうで
なんやキャッキャしとる

そんな会話
謙也くんに聞かすわけいかへん
やから俺は謙也くんの聞こえないように
耳をふさぐ


「…?」

「ゴメンな、謙也くん」

「……ん?」


………聞こえてへんな、よし。
ちゅうかはよ帰れや。邪魔や
カップケ-キとか渡してへんしそれにもうそれは
遠山の胃袋の中やっお前らに用はないんやから
さっさと出てけや










「美味しかったかな?あれ…」

「大丈夫だって!美味しそうだったもん!!」

「本当に?」

「うんうん。自信持ちなよ!もしかしたら
 これを気に彼女になれるかもしれないよ??」

「えっあ…うん。なれたらいい…なっ」








………………可哀相や
お前の恋…終わったな




残念でした
謙也くんは誰のものにもならへん
謙也くんは俺のや

絶対に誰にも渡さへんよ



俺は謙也くんに
噛みつくようにキスをしてやった



まるで…あいつらに見せびらかすように…




You only have to be looking only at me

君は僕だけを見ていればいい











―★

謙也がおとめ?
デレデレっすな^p^

光は謙也のこと
溺愛してればいいよ★←










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