「もうすぐ村だって!」
「だな」
この先“村中央”とご丁寧に記された看板を指差し、何かに気付いて歩みを遅めるレオンの先を越した。村と言ったら確かチェーンソー男がいるんだっけ。レオンの足を引っ張らないように気を付けなきゃ。そういえばこの夢、ゲームオーバーになったらどうなるんだろう。目覚めちゃうのかな―…
「待て名前そこに、」
「へ?」
なんて疑問符を頭に浮かべて後ろを振り向いたとともに、わたしのすぐ隣で何かが風を切った。レオンが銃を構えている、何かを射撃―
ドガーン
爆音と共にわたしの体が爆風によってふわふわり、ふわふわる。宙に浮いた瞬間にようやく思い出す。そう言えば此処にライン爆薬(少しでも触れると爆破するピンと張られた糸みたいなもの)があったんだった!しくった!なんてこったい!なんて後悔するも時既に遅し、呆れ顔のレオンが上手いこと抱き留めてくれた。
「あ、ありがとう…ございますレオンさま…」
レオンが罠を壊さず、此処を普通に通っていたらわたしは確実に大怪我を負っていただろう。ひとつ間違えれば死にも至る―ふと考えただけでも恐ろしく、目尻に涙がじわりと浮かんだ。
「…ぼーっとするな馬鹿」
「さーせんでした…」
「怪我は」
「お陰様でありません…」
「罠の有効活用の正しい例、見ておくんだな」
わたしを片腕に抱えたまま屈んだレオンは、地面に転がっていた石ころを拾うなり遠くへ放り投げた。その石ころは近くでうろついていたガナードの頭に直撃。案の定わたしたちの存在に気付いたガナードは此方に向かって凄まじい速さで走って来た。
「来た来た」
「え、何してんのおおうえええやだこわいきもいやだこっち来ないでぎゃあああ」
「いいから静かに」
慌てて腰に回されている手をばんばん叩くも、レオンは逃げるどころか逆に余裕綽々な様子で口笛を吹いて相手を此方におびき寄せている。その行為が相手の神経を逆撫でしたのか、ガナードが武器を片手に発狂しながら突っ走ってきた。
ドガーン
「ギャアアアァァ」
本日2度目の爆破音とガナードの叫び声には両手で耳を塞ぎ、ぎゅっと目を瞑る。数秒経ってからゆっくりゆっくり瞼を開けると、倒れているガナードとレオンのどや顔が視界に飛び込んできた。そんな彼には「お見事」と小さな拍手。
「銃弾節約!」
「だな」
「あ、こんなとこで葉っぱ見っけ!」
「グリーンハーブだ名前」