「あー泥水がはねる!あぁぁ」
「今はそんなこと考えている場合じゃないだろ」
「はぁーい…あ”ぁぁまたはねたぁぁ」
小屋から出た外は不気味な闇夜だけでなく激しい雨と落雷が待ち構えていた。わたしたちはなるべく足取りを速めて教会を目指して走っていく。
「ガナードか、…ご無沙汰なこった」
レオンが足を止め、銃を構えた。背中へといそいそ隠れながらレオンの視線を辿れば、何ら変わらぬガナード…なのだが少し様子がおかしい。小刻みに体を震わせながらこちらへゆっくりと近づいてくる。レオンも不思議に感じたのか様子を窺い、より警戒を強める。じりじりと距離が縮まっていく最中、レオンが「…何か様子がおかしい」と呟いた瞬間――ガナードの上半身がみるみる内に変形し、寄生体が現れた。
「何だこれは」
「うぇ…きもすぎる…」
液晶の中よりもリアルで見るとやはりこう、破壊力抜群というのだろうか。今夜の食事は抜きでもいいなと思う程度のグロテスクな代物であった。わたしが攻略本で見たのは、寄生体を倒すには閃光が一番効くとのこと。レオンは分かるかな…少し心配になりながらレオンの顔を見上げれば、いつもの様に射撃を開始するのだが普段よりも効果が無いのを感じ取ったのだろう、顔を歪めている。そして弾切れ。リロードするレオンの頬に寄生体のなんだかよくわからない鞭のようなニョロニョロが掠った、その瞬間わたしはすかさずカーディガンのポケットに収めていた閃光手榴弾を寄生体へ向かってぶん投げていた。――すると呻き声を上げながら倒れていく寄生体。レオンは目を丸くしながらわたしを見つめた。
「今のは閃光手榴弾、か…?」
(…あ、やばい反射的に……)
「え、えっと…レオンが危ないと!思って!咄嗟になんでもいいから投げちゃえ!と思って…あの、で、でもなんか閃光なのに1発で効いたね!す、すごくない!?」
(我ながら苦しい言い訳だろうか…)
「そうだな。…まぁ、閃光の効果が大きいことが分かった。よくやった名前、お前のお手柄だ」
何か言いたそうにしていたレオンだが、口を噤んでわたしの頭を優しく撫でた。いっそ全部言ってしまった方が楽なんだろうか、―そんな考えが頭を過るも、物語はその間も進んでいく。暫く歩いた先には川が流れていた。豪雨の所為か凄まじい荒れ具合だ。その川の上をと小さな足場を使って渡っていくと突如現れる崖、そして下へと続くロープ。滝のイベントか、此処。
「此処なら暫く安全そうだ。用は手短に済ませて来る、名前は此処で待っていろ」
そう指示をされ頷くと、レオンは1人でロープに捕まりするすると下流へ降りて行った。着地した先から「俺が此処に戻って来るまで大人しく遊んでろよ」と見上げられ、素直にはーいと返しておく。こうしてわたしは嵐のような天気の下、1人で待機をすることになったのであった。さて何しよう、ハーブでも調合しておこうかな。
(………暇でござる)