「レオンあのねわたし…」





「            」










―――ン



――――――オン



「――――――――レオン」




頬の温もりを感じながら目を覚ますと、目の前には名前の顔があった。遠くから聞こえてきた声の主は名前、か?そして今見ていた夢は一体、名前は最後になんて言ったのか――…



「ぐは!!!!」

「名前…」

「あ、ああ、お、おはよううう」

「声裏返ってるぞ。俺たちいつから此処で…」

「え、えと…ろ、6時間くらいから…?ここで2人して気を失ってたみたい」

6時間か。湖に落ちて行った名前を助けデルラゴを倒してからそれ程の時間が経っていると。ほんの先程のことのように思えるが、随分時間のロスだなこれは。言われてみれば確かに洋服も半乾き状態で少々気持ち悪い。それより気になるのは今名前が俺の頬に、―

「お前、今…」

「あ、わーっレオン!な、なんと!こんなところに置き手紙があるよっ」

「…なんだ、そのわざとらしさは」

あわあわと見るからに慌てて手紙を俺に渡してくる名前の顔は耳まで真っ赤に染まっていた。こっちだとキスは挨拶だが、日本という国では頬にキスするくらいであんなに照れてしまうほどの行為なのだろうか。一切こちらを見ずにぷいっと反対方向を向いている。…よく分からないが、そういった些細な仕草が可愛い、とたまに思う。そしてこういう反応されると思わずからかいたくなる。自分の頬が僅かに緩んだ気がした。

そういえばこの頃ハニガンに言われた”最近レオンの表情が少し柔らかくなってきたのは、名前のお陰かしら?”という言葉。あれは一体どう言う意味なのだろう。確かに名前の反応は飽きない、面白い。守ってやらなくては、とも思う。たまに、すごく抱きしめてやりたくなる時がある。


(ん…?)



いかん。任務中に同行者をこう言う目で見てしまうのはまずいな。少し頭を冷やすか。息をひとつ置き、名前から受け取った手紙に改めて目を通す。見覚えのある書体と文章に名前とは別のアジア系の女が頭に浮かんだ。恐らくこの手紙はエイダからだろう。

「エルヒガンテかぁ…」

隣からもう照れがさめたらしい名前の声が聞こえた。エルヒガンテを知っているのかと問うと目一杯に否定をされた。…怪しい。分かりやすい。たまに名前は何かを知っている素振りをする。そしてそれを隠そうと必死になっている時がある。それは一体なんなんだろうか。何者なんだろうか、名前は。思えば謎な点が多い奴だ。

(まぁ、今は気にするだけ無駄か)

通信機が鳴り、ハニガンからの連絡が入ったのでとりあえず名前に通信機を渡してもう一度手紙に目を通してからポケットへと乱雑に突っ込む。2人のやりとりも丁度済んだようで、俺たちは教会へ向かって歩き出した。
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