かちゃこんかちゃこんかちゃこん。適当にお遊び感覚で目盛りを回して動いている光をぼーっと眺めていたら、突然がこんと大きな音を立てて真ん中のくぼみが開いた。
「あ、開いちゃった」
「名前が解いたのか」
「適当にやったら…えへ」
「適当にやって開く仕掛けとはな、…甘過ぎる」
(まったくだ)
墓から戻ってきたレオンは、くぼみの中から取り出した緑色のステインの宝石をそっと懐にしまった。そのまま、元来た道を戻り教会の扉の前で立ち止まって。
「ふたりで教会だなんてまるで結婚式みたいでわたしドキドキしちゃいます先生」
「……」
「…あ、無視ですか先生」
「開かない。この宝石を嵌め込む訳じゃないみたいだ」
「……スルーですか先生」
「ん?どうした」
「い…いやあの果てしなくくだらない戯言なのでそんな真剣な眼差しで見つめないでくださいませレオン様…!」
「結婚するならこんな小汚い式場は御免だがな」
「え、し、し、しっかり聞こえとりますがな…!!」
何ともタイミングよくハニガンから連絡が入ったらしい。わたしはこの弄ばれた恥ずかしさと若干の悔しさをどこにぶつければいいのかが全くわからず、とりあえずしゃがんで意味もなく草むしりを開始した。なんの罪もない雑草たちへこの煮え切らない思いをぶつける。
「ほら、」
一面草だらけだった視界に通信機が飛び込んできた。見上げれば相も変わらずイケメンなレオン。どんな角度から見ようとも安定の美形である。バイオ2のときから4に至るまでの間に本当なにがあったか気になるくらいに。さらさらな髪が風に揺られて靡き、その隙間から見えた蒼い瞳。捕らわれたかのように、わたしの目は逸らせなくなってしまった。
(結婚式…かぁ…)
レオンがもしタキシードを着るとしたら、黒も白も似合いそう。あ、和装でもいいかもしれない。黒紋付、いや白紋付も捨てがたい。わたしはむしった草を掴んだまま、思い付くままに妄想の中でレオンの着せ替えを楽しんだ。けれど途中でこつんと本物のレオンに額を小突かれ、はっと我に返る。
「通信はもう切った、先に行くぞ」
「え!あ!ハニガン!!」
「通信機受け取る気配が無かったからだ」
「それはレオンに見惚れて妄想してたか…なんでもないです」
「馬鹿正直だな」
レオンの冷静で的確な突っ込みを後に、わたしたちは教会の右手にある桟道を進んで行った。
結論:イケメンは何を着ようともイケメン