用を足し終えたレオンと共に外に出れば、相変わらず元気なジェイソンさんと村人たちが待ってましたとでも言わんばかりに飛び出してきた。ジェイソンさんとのご対面も2度目な為、レオンも手慣れたように倒していらっしゃる。うつ伏せたジェイソンさんの懐から転がり落ちてきたルビーの宝石を拾い上げ、レオンは「豚にも真珠だな」と失礼極まりないな言葉を投げ捨てた。そのまま、手際良く敵を倒しながら一本道を真っ直ぐに突き進み、閂を外してから再びあの村広場へ。東側の建物へと向かい、手に入れた紋章の鍵を使って一風変わった扉を開けた。
「内装はまるで普通の家みたいだな、」
「レオン、これ撃って!」
隣の部屋からレオンを呼び、天井に備え付けられているランプを指差した。疑問符を浮かべながらもレオンはランプを破壊してくれ、勢い良く燃え尽きた灰の中から無事にスピネルをゲット。感心したようにスピネルをポケットに収めるレオン。少しでも役立ったことが嬉しくて、調子に乗ったわたしはにやけたまま床にある扉を開けた。
「レオン、梯子があるよ!」
「よく見つけるな」
「どやあ」
地下に続く洞窟、時折置かれているろうそくの灯がなんとも不気味。先へと進む途中、レオンは銃を構えたまま天井を見上げるように立ち止まった。
「あれも撃ってみるか」
流石の学習能力、レオンは先程と同じ天井に備え付けられているランプを躊躇なく破壊した。するとその拍子に頭上に3つの光が灯される。それらを全て撃ち落とし、スピネル2つと蛍石の髪飾りを手に入れた。後者の宝とわたしを交互に見合わせ、レオンが小さく笑う。疑問に思ったわたしは小首を傾げながらレオンを見つめた。
「…?なあに?」
「宝石が似合わないな」
「んなっ…!失礼!」
「名前にはビーズの髪飾りが似合いそうだ」
「くっ……」
く、悔しい。どういう意味だと問いたいけれど理由なんか聞かずとも分かってますよちくせう。子供っぽいとでも言いたいんだろう。なんだか親しくなればなるほどレオンの鬼畜な発言が増えていく気がする。いじけるわたしとは裏腹に、武器商人の元へ行ってしまったレオン。楽しげに(お互い無表情だったけど)売買する2人の姿を見てこうなったらなにか悪戯でもしてやろう、と企んでみる。後ろからレオンにこっそり近付き、膝かっくんをしようとした…ら…、膝の位置が届かない…だと…?…?
流石外国人、嫌みなくらいに足が長い。ほんのり傷ついたわたしは俯きながら勝手に先へと進み、突き当たりの梯子を登った。そして隅っこの方でぺたんと座り込んで膝を抱え、ひとりでいじける。しばらくしてから、商人とのやりとりを終わらせたらしいレオンが梯子を登ってきてわたしの目の前を通った。瞬間、目が思いっきり合ったのだけど何も無かったかのように素通りされてしまった。
(シカト…だと…!)
耐えきれずわたしは立ち上がり、レオンの元へ駆け寄り腕を掴んだ。
「なんで無視!なんで無視したんですかレオンさん!」
「あぁ悪い気付かなかった」
「嘘だ…!!」
「はいはい、ほら行くぞ。名前の大好きそうな場所だ」
「え?」
レオンの視線の先を辿れば、視界に広がったのは墓地、だった。