レオンを先頭にして、地上へと続く梯子を登った。出てすぐ左側には悪臭漂う井戸、上からは黄銅の懐中時計がぶら下がっていた。レオンはきっとデジャヴを感じている気がする。けれどあの棒を撃てば綺麗なまま回収出来るということを、恐らくはまだ知っていないのだろう。きっとこのままじゃまたお宝(臭)をゲットしてしまう。せっかく高価に売れる物の価値を下げてしまうなんて勿体無い。そのまま落とそうとした銃を構えるレオンの腕を掴んだ。
「レオンちょっと待った」
「ん?」
「あの木の棒を撃って」
頭に疑問符を浮かべつつも、指示された通りにレオンはそれを撃った。その仕掛けで、臭い井戸に蓋をするように大きな板が音を立てて落ちてくる。レオンは感心したように頷きながら、綺麗なままの黄銅の懐中時計を手にした。
「成る程、そう言うことか」
「役立った?」
「あぁ、よくやった」
「えへへ」
レオンはよくわたしの頭をよく撫でるけど、最近はわしわしと乱暴に撫でることはなくなった。まるで割れ物を扱うよう、優しく撫でてくれる。それが大切に思われているようで、無性に嬉しい。若干、犬扱いされてるような気もするけど。全く嫌な気がしないから不思議。
近くの小屋で木箱やカラスからアイテムを回収したり、トラップを壊したりしながらも屋敷へと入った。2階へと進めば扉には水晶玉のパズル。もしレオンが手こずっていればヒントをあげようとしていたけれど、頭の回転が早いレオンにわたしの助言は必要無かったらしい。いとも簡単に解き、ロックを解除した。扉の開かれた部屋へ入り進んで行くと、まずは机の引き出しを物色するレオン。わたしは机の近くにかけられていた絵を凝視した。
「悪趣味…」
小さく呟いたわたしの言葉が届いたのか、レオンが頷いているのが見えた。そして直ぐ隣にあった洋風の棚の隣に、禍々しいオーラを纏わせた紋章の鍵が置いてある。このデザインはさっきのレオンが解いたパズルと一緒な気がする。レオンはそれを手にし、奥にある扉を睨んだ。わたしはベッドに駆け寄り、見ろとでも言わんばかりに置かれているメモを拾い上げてレオンに手渡した。
「これ置いてあったよ」
レオンはそのメモを広げ、険しい顔をしながらメモをぐしゃぐしゃに丸めた。それをわたしの目の前に差し出して、真面目な顔をでこう言うのだ。
「…食うか?」
「食べれません」