久し振りの休日。
会いたいとせがんできた名前を家に招き、のんびり寛ぐことに。ソファに深く腰掛け、本を片手にティーカップを傾けた。
「れーおんっ」
後ろから首もとへと腕を絡ませ、甘い声で俺の名前を呼び抱きついてきたのが名前。
「それ一口ちょうだい?」
「ん、」
それ、と言うのは恐らくコーヒーのことだろう。しかし可愛らしく小首を傾げる名前にカップを差し出すと、ちがうのちがうのと唇を尖らせながら押し返してくる。カップの中で黒い波が揺れた。
「口移しがいい」
「……は、」
「おねがい」
「別に構わない」
「やったっ」
嬉しそうに頬をほんのりぴんく色に染め、首もとにすり寄ってくる名前の頭を優しく撫でながら「ただし」と口角を上げた。
「移すだけじゃ済まない」
110301
俺の可愛い子猫ちゃん