イライラする。 なんかすごく嫌な気分だ。 これもそれも、全部アイツのせい。 あおいはる 本当どうしてこんなイライラするのか、元凶は分かってるけどその理由が見当たらない。 なんで葵ごときのために仕事に支障を出さなければならないのか。 考えろ、考えるんだ自分。 僕が可笑しくなったのはついさっきで、葵の忘れ物を届けに行ったときだ。 忘れ物とはとてつもなく応接室に邪魔な物(っていうのは葵のカバンなんだけど)だったから、仕方なく届けに行ってやっただけで、それといった故意は無い。寧ろ好きで行くかよあんな群れまくりの場所。 ・・・まぁカバンの中身に弁当が入ってたから、昼休みに大変だろうという意味も含んでるけど。それ以上に何も感情無く葵の教室に行ったんだよ。 そしたら、 2年A組の草食動物3人組と一緒にお弁当食べてて、しかもおかず貰いまくってる葵がいて―――・・・。 って、完璧にその時だな。 全く、僕がせっかく届けに行ってやったのに気が付かないとか、いい度胸してるよね。 多分コレだろうな。 ・・・ってあれ、何かひっかかる。何だろう? まぁいいや、罰として葵に少し冷たく当たってやろう。 ガララ 『しっつれいしまーす!!!』 嗚呼噂をすればだ。いつも通りの顔で来やがって、 むかつく。 「・・・・・・・・・」 『?あれっ、雲雀さんどうしちゃったのかなー』 いつもならトンファー投げてくるんだけどなぁ。 葵の言葉に内心ビックリする僕。お前、そんなにトンファー投げて欲しかったのか。 『むー・・・まぁいいや、カバン返して下さいませんか?』 「・・・・・・捨てたよ」 『・・・・・・・・・・・・・・・・え?』 「捨てたって言ってるの。邪魔だから早く帰ってくれる」 『え、だって・・・何で、』 「捨てるのに理由がいるの?まぁあえて言うなら、 邪魔だったからかな」 これは言いすぎたかな。 まぁ前に"君の家は僕にとってのゴミ箱だからね"って言ってたし、通じるだろう。 でも、僕の考えは甘かったみたい。 『・・・・・・ッ!!!』 目尻に涙をためる葵。カタカタと体が震えて、口を手で押さえている。 初めて見た葵の泣き顔に驚きながらも、僕は本当にやりすぎたと思い、弁解しようとした。 でもそんな間も無く。葵はついに頬に涙を流した。 『雲雀さんが、そんな人だとはっ・・・思ってませんでした』 最低です、と一言吐いて荒々しく出て行った葵。 僕の脳裏に葵の言葉が焼きつく。 "最低です" "そんな人だとは思ってませんでした" 「・・・ッ」 軽率にも程があるという事を、今僕は初めて知った。 明日葵に謝らないとな、なんてらしくもない事を思いながら、草壁の出した熱い抹茶を飲む。 「・・・・・・・・・・・・・」 "私の事も抹茶みたいに愛でて下さい" 「抹茶は、愛してる訳じゃないんだけど」 破片をあつめて (気づき始めた心) 『ッ・・・・・・』 走る。走る。走る。 1回も後ろを振り向かずに。 "君の家は僕にとってのゴミ箱だからね" ひとつの希望を思い浮かべながら。 END. さぁそろそろ気づいてくれ雲雀殿← 彼はきっと自覚したら凄いことになるはずだ |