一昔前のようなチンピラ


命賭けで逃げるなんて前代未聞。
つっても、私の短い人生の中でだけど。
ぶっちゃけるとナンパされに路地裏に来た訳なんだけどさ、やっぱりこういうのは、そんなのに慣れた人連れてなきゃ駄目だわ。
まあ私の理想の高さってのも一種の原因だろうけど。
とにかく逃げないと、って思って、私は能力(何処にでもいるような身体能力上昇系のレベル4)を行使して逃げ回っているのが現状。

流石に「くさい」はマズかったか。

「オラオラ遅ぇんだよ!!」
『きゃー怖ーい』
「・・・ッ!!!」

やべ、逆上させちゃった。

風を切るように走る。石段の上を高速で走りぬけ、人通りの多い所までが私のゴール地点。
車の音が微妙に聞こえる辺り、そう遠くないところだろう、って。

「訂正してもらおうか?さっきの言葉」
『・・・・・・・・・・・・・』

何故、捕まる。

「聞いてんのか?」
『キコエテルヨ』
「・・・・・・」
おお、こめかみに青筋が!って興奮してる場合じゃない。
さっきは暗くてよく見えなかったけど、こいつ・・・学園都市第2位の未元物質じゃないか。
凄いヤツのくせに、何でナンパとかしてんの・・・?
てっきり、一昔前のチンピラがきっちりブレザー着込んだイメージに捉えちゃったじゃないか。

『それでー、未元物質様が何でこんなどーでも良い事に執着するんですかねえ?』
「・・・知ってんのかよ」
こら、苦笑いするな。
「俺は侮辱された事を訂正してもらいにやってる事で、別に執着なんかしてねぇぜ」
『まったく、器が小さいねえ』
「"くさい"って言われたら誰だってキレるぜ」

そりゃそうだ。

『アレですか?"良い匂い"って言ってほしいんですか』
「・・・いや、それもそれで・・・・・・」

じゃあどうすりゃいいんだよ。
とりあえず、今のこの状態をどうにかしたいんだけど。
捕まった、という表現がまさに適してる状態。
セメントの地面に押し倒されてまーす。
何コレ、貞操の危機?って、

『ちょっと待ったー、何ボキボキ鳴らしてんの?』
「丸聞こえなんだよ」
誰がお前の処女なんて奪うか、なんて。酷い事言ってくれるじゃないの。

『いいもん、殴ったら訂正してやんない』
「そんな事言える立場か?」
『女の子を殴るほど最低な男はいない』
「誰が女の子だって?」
『貴方が押し倒してるプリティーな子ですよ』
「こんなのがプリティーなら世の女は皆女神だな」



失礼すぎるっつーの。




始まりました垣根中篇!!
見た目が坊ちゃま中身がチンピラって・・・
突っ込み所ありすぎだよね

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