ココチ




「だ、誰・・・?」
「・・・・・・」

蓮華は、微かに聞こえた人の声で目を覚ました。
しかし、まだ目は開けず閉じたままだ。

寝起きの頭はきちんと機能してくれず、この状態についていっていないような気がした。
蓮華は覚醒しない頭で必死に考えた。


『(あぁ、そういえば・・・幽体離脱・・・・・・)』
現在地はどこか。第一優先はそこだ、と蓮華は判断した。



むくり。
「ぎゃぁあ!!?お、起きたー!!!!」
「一応人間みたいだな」
『・・・・・・』

人間扱いされてなかったのかよ。ジト目の蓮華は、ツナにとって恐ろしく見えた。

『・・・ここ』

目が慣れてきた頃、改めてあたりを見渡した。
ごく普通の、男の子の部屋だ。
すぐ近くにある台座の上には、コップに入ったジュースと空のポテトチップスの袋が置いてある。


「・・・ぁ、ここは、お、俺の部屋・・・ですけど・・・・・・」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へぇ』

長い沈黙のあと、蓮華は短く、そうとだけ答えた。


「おい、お前は何者だ?」
『只者』
「ふざけんな」

チャキ、と漆黒の暗記をこめかみに押し付けられた。
冷たい感触が髪越しに伝わってくる。
しかし、蓮華は焦った様子をせず、むしろ楽しそうに破顔させた。

『本当に、来たんだぁ・・・』

「・・・・・・?」
勿論ツナは、意味が分からないというように首をかしげた。
一方リボーンは、先ほどより険しそうに顔を強張らせる。ボルサリーノによって作られる影はその雰囲気をいっそう醸し出しているようだった。

「答えになってねぇぞ。俺は何者かって聞いたんだ」
「っちょっ、リボーン!止めろって!!!」
引き金を引きかけるリボーンに、逆にツナが焦り始める。
しかし蓮華は、焦る様子も無く笑ったままだった。

『私は殺せないよ』
「っ!!?」

突如、言葉を発したかと思えば、火に油を注ぐような言葉。本格的にツナが焦り始める。

「ほう・・・やってみなきゃ分かんねぇじゃねぇか」
『無駄だって・・・私はこの世界の人間じゃない』

「・・・それは興味深い話だな」

チャッ、と銃を下ろしたリボーン。しかしその小さな指はまだ引き金を離さずにいて、完全に信用した訳じゃないということを物語らせていた。




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「見えない臓器の名前は」
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