アヤマル
「ただいまーっ」
結局買い物は7時近くまで続いて、大量の紙袋を抱えて帰ってきた私たちは、もうヘトヘトだった。
ヘトヘトなのは蓮華だけっぽいが。
『・・・・・・ッ』 「す、すごいげっそりしてるね・・・」
蓮華は青い顔をしながら『大丈夫』と答え、階段を上がっていった。
「・・・・・・」 あれ絶対大丈夫じゃないよな。ツナはしばらく心配そうに階段を見つめていた。
『・・・た、タイミングが・・・・・・』 蓮華は与えられた部屋で頭を抱えていた。 沢田家に帰宅したのはいいが、その後・・・謝るタイミングが、見つからない。
『どうしよう・・・』
早く謝んないといけないのに。
コンコンッ
『!はーい』
突如ノックされたドア。その先にいたのは、
「・・・、蓮華ちゃん・・・・・・」 『!ツ、ツナ・・・』
ツナだった。
今朝はスムーズに会話できていたが、それはリボーンや奈々がいたからだ。 蓮華とツナの間で重い沈黙が流れた。
『・・・あ、あの・・・』 「!はいっ」
仕方なく蓮華が話しかけると、ツナは驚いたかのように飛び上がった。
『ど、どうしたの・・・』 「なッッ、何でもないよ!!ははは・・・」
『そ、そっか・・・・・・』
『・・・・・・』 「・・・・・・」
再び、沈黙が2人の間で漂った。
『・・・ねぇ、ツナ?』 「・・・・・・・・・ん?」
意を決して、蓮華はツナに尋ねた。
『まだ、怒ってる?』 恐る恐る、といった感じで蓮華はツナの顔を覗き込んだ。
「・・・え?何が?」
すると帰ってきたのは、拍子抜けするような答え。
『え、な、何がって・・・昨日の・・・こと・・・・・・』 そこまで言ってやっとツナは分かったのか、苦虫をかみ締めたような顔をして、
「ううん、怒ってないよ。ていうか、最初から怒ってなかったし」
と言った。
『・・・え、最初から?』 「うん。 昨日あんなこと言ったのは・・・、なんか、凄く悲しいこと言うからさ」
蓮華が、遠くに行っちゃうみたいで、嫌だったんだ。ツナはそう言った。
『とお、く・・・』 「・・・うん。せっかく友達になれたのに、寂しいなって思ったんだ。 なんか傷つけちゃったみたいだけど・・・ごめんね?」
しゅん、とツナは悲しそうに言うものだから、蓮華は焦って 『う、ううんっいいよもう、』 と言った。
「今日、なんかよそよそしかったのはそういう事だったんだね」 『う、うん・・・ツナ、怒ってると思ってたから・・・』
お互い、真剣な顔で向き合っていた。
蓮華は「嬉しさ」というものを感じていた。 ツナに認められたという嬉しさ。 ツナと友達になれたという嬉しさ。
この世界に認められたのだという、嬉しさ。
『・・・・・・へへっ』 「・・・?どうしたの、蓮華ちゃん」
『・・・ううん、なんか、嬉しいなって』
君に出会えたということが。
『・・・・・・クサいかもしれないけどさ、私・・・ 初めてこの世界に来た所がツナの所でよかったと思ってるよ』
あたたかく、全てを抱擁する大空。
『(・・・やっぱり、好きだな)』
"人間"として。
蓮華はやわらかく微笑み、ツナの額にそっとキスを落とした。
"謝る"end
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