アヤマル




「あ、蓮華ちゃん、買い物に行きましょう?」
『・・・買い物?』

突然奈々さんが話しかけてきたかと思うと、そう言われたので驚いた。

「ずっとその格好でいるつもり?」

『・・・・・・あ』


今の蓮華の服装は、此処に来たときに着ていた制服。
昨夜は奈々さんの部屋着を借りたので大丈夫だったが、流石にずっとこの制服姿だと辛いなと蓮華は思った。


『分かりました』

「ふふっ、じゃあ行きましょう?」



つっくん達はお留守番ね!と奈々さんは叫んで、蓮華を連れてショッピングに出かけた。












「ねぇ蓮華ちゃん!これなんてどう!!?」

『すっ・・・素敵、ですね・・・』


只今蓮華は困っている。
何にかって、それは奈々さんのテンションの高さに、だ。
先程から、何か気に入った服を持ってきてははしゃいでいる。
周りからの視線も痛い。

『(は、はは・・・)』
「?どうしたの?」

『いえ・・・・・・』


実を言うと、奈々さんはもっと大人しい人だと思っていた。
お人よしで、ツナに甘くて、子供好きな、温かい人だと。
期待から外れていて、驚いた。


でも。



『(奈々さん達は"キャラ"じゃない・・・。)』

昨日、ツナに教えられたばかりなのだ。
自分たちはキャラクターでないと。原作なんて、どうでもいいと。

昨夜は恥ずかしさで眠れなかった。
自分の世界に居た時も自分はこんな奴だったのかと思うと、本当に過去の自分を呪いたくなる。

蓮華は少し申し訳ない気持ちになりながらも、奈々さんの買い物に付き合い続けた。



『・・・・・・あ』

「どうしたの?」


『・・・ふふっ。
ツナと、帰ったら色々話したいなって』

昨日のことも謝らなくちゃ。そう言うと奈々さんは楽しそうに、

「ツナにも仲の良い友達が出来たのね」

と言った。


蓮華はただ、自分が「ともだち」だと言ってくれた事が嬉しかった。




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