学園TS物語2


「もー、二人とも何してんのさ、早くしないと片倉のセンセに見つかっちまうって」
「Shut up!・・・ったく、誰のおかげでこんな時間になったと思ってるんだよ。ナァ真田ぁ」
「某だけではなかろう。政宗殿が負けを認めぬからだ!」
「Ha?!いつ、だれが、どこで、負けたって言うんだ?Time upがこなけりゃオレの刀がアンタの喉に突き刺さってたぜ!」
「何を言う!某の槍の方が一歩・・・いや、二歩は早かった!」
「あーあーあー!もーいいから!二人とも汗臭っ!早く風呂入って、飯だってまだだろ?・・・たく、いつまで道場に篭ってるんだか・・・って、アレ?まだ誰か入ってんの?」

ガサガサ、という衣擦れの音と、怒鳴りあう聞きなれた声に、まことは慌てて上げていた腰を下ろす。

『ど、ど、ど、どうしよう・・・政宗さんと、佐助さんと、幸村さん・・・』

今、この状況で一番会いたくない人物の登場に、まことはこのまま風呂場を飛び出て逃げるべきか、それとも動揺を見せずにこのままいるべきなのか、とじゃぶじゃぶ湯船の中を行ったり来たりして湯を波立たせる。
あわわ、あわわ、と右往左往していたが、とうとうガラリ、と大浴場の曇りガラスが開いてしまい、最後の足掻きと湯に鼻まで浸かって隠れてみたものの、足を一歩踏み入れた佐助とバシィっと視線が合ってしまった。
いつも人をからかうように弓なりに笑んでいる瞳が驚いたように丸く開かれ、それがじわりじわりとまた弓なりに戻っていくのに、まことは唯一湯から出ている瞳を不安と焦り、そしてなんともいえない羞恥で潤ませる。

「猿、早く入れ、邪魔だろうが」
「そう急かすなって!・・・へっへっへー、まこちゃーん、何々ー?俺様の事待っててくれたのー?」

腰元をタオルで隠しただけの佐助が風呂場に飛び込むと、その後を政宗が「まこと?・・・Hah、こりゃあいいBath timeになりそうだ」とアイパッチをつけていない左目をにまにまと猫のように緩ませて入ってくる。
かけ湯を浴びて湯船に向かってくる二人の、その元の男の自分とは比べ物にならない程筋肉が付き、しっかりとした男の身体に一瞬見入ってしまったまことだが、ザブン、と跳ねた湯に我に返ると視線を逸らし、ぶくぶくと泡を出しながらますますお湯に隠れようと顔を沈めていく。

「まこちゃん何してんの、溺れちゃうでしょ」

苦笑を漏らす佐助の声にもぶくぶくと泡で応えるまことに、面白がった政宗はお湯を掻き分けると必死に視線を逸らすまことの目の前に仁王立ちになり腕を組む。

「Aha、なんだまこと、オレの身体見て照れてんのか?観察料は高いぜ?」
「ぷぁっ?!なにをっ、・・・っ、やっ、ま、前、隠してください・・・」

頭の上から聞こえたからかうような声に、まことが思わず顔を上げると、目の前、至近距離に政宗のペニスがぶらりと揺れていて息を呑む。
温まって桃色に染まっていたまことの頬が、カッと耳たぶまで真っ赤に染まったのに政宗はまたにやりと口角を上げ、じり、と股間を近づけるように足を踏み出す。

「お前元は男なんだろ?それならこんぐらいで恥ずかしがってるんじゃねぇよ。見慣れたモンじゃねぇか」
「そんな、政宗さん、あ、ぁ、や、やだ、やぁ・・・」

ずい、ずい、と近づいてくるペニスにまことはどうしていいか分からず、胸元を隠していた小さな手のひらで、思わず真っ赤に染まった目元を隠す。
すると湯の中でたゆたゆと揺れる乳房が丸見えになり、政宗はヒュゥ、と口笛を吹くとそこに手を伸ばそうとして、パシィン、と背中に走った衝撃に飛び上がった。

「Shit!猿、テメェ何しやがる!」
「アンタこそ何しちゃってんのさ。今のすっげぇおっさん臭かったぜ?・・・まこちゃん、ほら、そんなセクハラおっさんからさっさと離れて俺様んとこにおいで」

政宗の背中を叩いた手をひらひらと揺らし、佐助は猫なで声でまことを呼ぶが、今まで散々この二人にはいやらしいイタズラをされているのだ。
こんな無防備な格好で近づけるはずがない。

「や、い、いいです、僕、僕もう上がりますから、」

じゃぶ、と二人を迂回し湯船から出ようと足を上げて、ハッと正面のガラス戸に立ち尽くした人物と目が合った。

「・・・っ、ゆき、むらさ・・・」
「っ、・・・っ、っ、」

まことに負けず劣らず、幸村はお湯に浸かってもいないのに真っ赤に染まった顔をして、口をパクパクと開閉させ震えていた。
その視線はまことの腕で隠されたたわわな胸元と、片足を上げて丸見えになっている淡い茂みの奥を交互に移動し、そうしてギュッと固く瞼と口を閉じる。
湯船の中でそんな二人を見ていた政宗と佐助は、てっきり幸村が破廉恥だなんだと絶叫を上げるものだと耳を塞いでいたが拍子抜けし、いよいよこの二人の確執はそうとうなものだな、と小さく頷きあった。
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