続・プチトリ!9


見つめあい、どちらからともなく顔が近づいていく。
睫毛に小十郎の前髪が触れ、むず痒い感触に小さく吐息を漏らすと、すぐ近くにあった小十郎の唇にそれがぶつかる。

「何笑ってんだ」
「ァ、こじゅうろさ、くすぐったいの・・・」

ずっと長い指でこそこそとくすぐられている項も、耳の後ろもくすぐったい。
くすぐったいけれど、本当はそれだけではないけれど、まだ午前中の明るい居間で感じるには不釣合いな劣情に、まことは小さな後ろめたさを感じて触れ合いそうになっていた唇をキュッと噛む。

「どうした」
「ン、らめれす・・・。こじゅうおさん、かぜ、うつっちゃいまふ」
「・・・俺はそんなにヤワじゃねぇ。うつせるもんならうつしてみやがれ」
「っは、らめれふ、はふ、・・・ッン、ん・・・フ、」

まだこんなに明るいのに、窓だって開いているのに、風邪も引いているのに・・・。
まことの頭に様々な葛藤が渦をまくが、小十郎の舌が噤んでいる唇の縁にツウ、と触れると、途端に今までの比ではない程のビリリとした何かが身体の中心に走り、間の抜けた鼻声を漏らして口元を緩ませてしまう。
思わず怯んで腰が引けると耳や項をくすぐっていた両手が頬を挟み込み、逃がさないとばかりに固定される。
そうして、解けた唇がそっと熱いもので覆われた。
こすり合せるよう唇同士が重なり、強く押し付けられるとすぐに離れ、また角度を変えて重なってくる。

「ん、ふ、」

その感触が心地よく、しかしもどかしく、とうとうまことが引けていた身体を押し付けるように小十郎の袂に手を伸ばすと、同時に頬を挟んでいた小十郎の両手がまことの身体を抱き寄せる。
そのまま深く口づけされ、緩みきった口元から熱く滑った舌が潜り込んできた。

「はぅ、んむ、む、んっ、んっ、ンッ、」

口内をまさぐるように舐めまわされ、舌を吸われ、上顎をつつかれるとぶるりと背筋に震えが走る。
きゅうん、と下腹部にも切ない痛みのような快感が走り、まことは熱を持ち始めたペニスを小十郎の固い腿に擦り付けながら、もっと、もっと、と唇を大きく開けて激しいキスを受け入れる。
このまま、腰を抱かれている大きな手で身体中を撫でられたい。
尻たぶを揉みしだかれ、硬くなり始めたペニスの奥、ヒクヒクと戦慄いている尻穴もたくさんいじめて欲しい。
長く、太い指がそこを割り開き肉をこね回す想像に、まことは胸元にすらピリリとした快感を覚え、背筋をしならせる。
じゅう、とひと際激しく舌を吸われ唇が離れていき、唇の端から垂れていた唾液を拭われながらまことはうっとりと瞳を開いた。

「こじゅうろ、さん、まこ、まこ、熱いの、からだ、熱い、」
「何?熱でも上がったか?」

しかし潤みきったまことの瞳とは逆に小十郎の瞳はまったくもって冷静で、身をくねらせるまことの額に手を置くと「少し上がったかもしれないな。また横になるか?何か薬はあるのか?」と呟いてム、と眉を寄せる。

「こ、小十郎さんのいじわるっ!こじゅうろ、さん、小十郎さんだって、からだ、からだ、いっぱい熱いのに・・・」

あんないやらしいキスをしたのに。
額に置かれた手も、抱きついた身体も固く、熱かった。
もっととろとろに溶けるほど熱くなりたい、小十郎さんの熱い身体ももっと感じたい。
そう思って自分を見下ろす小十郎の唇にまた舌を伸ばそうとした瞬間、す、と寄せ合っていた体が離れてまことはたたらを踏む。

「ああ、そういえば俺も熱でやられていてな。井戸・・・ここにもあるのか?水を浴びる場を借りたいんだが」

そうしてまことは潤んだ瞳をむう、と歪ませたが「どうしたんだ?そんなに気分が悪いのか?」と心配そうな顔を返されて文句が言えなくなってしまった。
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