続・プチトリ!6


小十郎は小さく丸まったまことをからかいながら、この子ども子どもしたまことをどうやら自分は好いているようだ、と心中で苦笑を漏らす。
牢から救出され冷静になった後、あの時まことに沸いた感情を特殊な状況にいた為だ、身体を繋げた為だ、そうでなければ自分を犯した同性のガキに情が沸くはずがない、と色々理由をつけて否定しようとしていたが、こうして再会するとひどく素直に受け入れられた。
人懐こい子猫に擦り寄られているような、甘ったるく生温い、あまり経験した事のない己の感情に、尻が痒くなりそうな居心地悪い気分になる。

「──取り敢えず、井戸か水場を貸して欲しいんだが・・・お前も喉が渇いたろう」

「・・・井戸?・・・、あ、」

さっきの手の平といい、この物言いといい、何か既視感を感じる、と思っていたが、それが幸村や佐助と一緒にいる時に感じるものだと思い至ったまことはハッと小十郎を見上げる。
どうした?と見下ろしてくる小十郎の和服、ピンと伸びた背筋にゴツゴツと剣だこが出来た手の平、そして普通の人とは何か違う空気を再確認し、まことは『もしかして小十郎さんは、幸村さんや佐助さんと同じ所の人なのかもしれない・・・』と珍しく冴えた勘の良さを発揮した。
そうだ、幸村さんと同じ褌を穿いていたし、佐助さんの事を知っているとも言っていた。
この普通じゃない空気を佐助さんのお仕事関係の人だからだと思い込んでいたけれど、もしかしたら自分は佐助さん達以外の戦国時代の人とお話しているのかもしれない・・・!
幸村や佐助と出会った時にも感じた言い様のない興奮と感動で、まことははふはふと息を荒くする。

「・・・おい、また熱が上がったんじゃねぇのか?」

怪訝そうにこちらを見る小十郎に、まことはキラキラした瞳を向けて「大丈夫です!」とベッドから飛び起きる。

「大丈夫です!もう寒気もないですし、頭が少しくら・・・くら、するだ、け・・・」

ぴょん、と体を起こし床に立った瞬間、頭を押しつぶされているような重さを感じ、目の前が白い砂嵐にまみれる。
あ、倒れちゃうかも、と思った時には小十郎の胸に抱きかかえられていた。

「・・・お前の言葉は当てにならねぇ」
「う・・・ごめんなさ・・・」

ため息混じりにそのまま抱き上げられ、「取り合えず水だ。扉はここだな」と部屋を横切りドアノブに手を伸ばす。
そうしてそれをガツン、ガツン、と右に左にと引いて「ッチ、開かねぇな」と舌打ちをするのを聞き、まことは眩暈を感じる中、益々自分の勘を確信するのだった。
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