続・プチトリ!2


この家で、一人きりになるのはいつぶりだろう。
誰もいない家の中は自分が音を立てなければシン、と静まりかえっていて、それが妙に寒々しく、急に悪寒が強くなったのを感じてまことはぶるりと身震いをする。

「なんだろ・・・風邪ひいちゃったのかな・・・」

時計を見上げるとまだ随分と朝早い時間だった。
薬を飲んで今日はゆっくりしていようか。でもまだ洗濯も干していないし、お弁当の後片付けもしていない。
佐助に「まこちゃん、ホンットごめんね!」と本当にすまなそうに片付けられなかった家事をお願いされ、「そんな、こっちこそお仕事前なのにお弁当作り手伝ってもらっちゃってすいませんでした!後片付けくらい、どーんとまかせてください!」と胸を張って応えたのだ。
片付けをしてから、そうしてから横になろう、となんとなくふらふらする足元に注意しながら大量の食器を洗い、ジリジリする関節を伸ばして洗濯物を干し、視線が定まらなくなってきた目を擦りながら家中掃除機をかけ回り、いつもの起床時間になった頃、まことは随分と火照りを感じるようになった体をもぞりと布団に潜りこませた。

『あたま、くらくらする・・・さすけさんと、ゆきむらさん、帰ってくる前に元気になってるといいな・・・』

そうして目を瞑ると横になる前に飲んだ薬のせいか、まことはすぐに夢の中へと落ちて行った。




夢の中、まことは『今、僕、夢を見ている』とぼんやり視界を巡らせた。
自分が寝転んでいる薄暗い部屋、篭った空気、壁に揺れる大きな影、目の前に立つ壮年の男性、黒い風のような人、それらすべてにデジャヴを感じていた。
少し前、佐助に禁欲を言い渡されていた時に見た夢だ。
不思議な夢だった。今まではどんなに印象深い夢を見ても、朝日を浴びれば薄っすらとしたおぼろげな記憶になっていたのに、この夢だけは違っていた。
まるで本当に自分が体験した出来事のように、瑞々しく、鮮やかに、いつまでも記憶に残っている。

「卿はヒトではないのか」

あの時と同じように、シュラ、と透明な音を立てて目の前で抜かれて行く刀。
行燈の赤い炎が研ぎ澄まされた刃に反射して、それ自体が炎を出して燃えているようにゆらゆらと揺らめく。
ゆっくりと振りかぶられていくそれを、前と同じように呆然と見つめていると、ふいに自分の背後から男の人の声がした。

「まこと、おい、まこと」

そちらに気を取られた瞬間、ズズッ、と胸元に嫌な感触を覚えた。ああ、また切られてしまったのだ。
あの時は行燈の炎が燃え移ったのでは、と思う程切られた胸元はカッカと熱くなっていたのに、今はそこから凍えてしまうのではないかと思うほどの寒気を感じる。
パッと散った体液はやっぱり白く、精液のようにねっとりとして、いやらしい匂いを放っていた。
恥ずかしい。人前でこんなに白いの、いっぱい出して、いやらしい匂いを振り撒いて・・・。
だらだらと胸元から零れる体液を止めようと必死に手で押さえつけるが、いつの間にかピンと尖って勃起している乳首の先からもトロトロと白い粘液が溢れ出してしまっている。

「卿はヒトではないのだな」

炎を纏った刀が内股に押し当てられ、つう、と傷を作りながら尻の狭間へと差し込まれてゆく。

「ぁ、ぁ、ぁ、ん、ひ、ヒィ、ヒィ、」

おかしなところをなぞる刀のせいか、胸元の傷のせいか、うまく呼吸が出来ずに身を捩り、喉を押さえてえずくとゴプリ、と口からも白い粘液が吐き零れてゆく。

「まこと、おい、おい、大丈夫か」

どこからか粘着質な濡れた音が響くのに気が付くと、いつの間にか自分はたくさんの大きなペニスに囲まれていて、それが身体中に空いた穴を犯していた。
ぐちゅぶぢゅと泡を立てる程、胸に、足に、腕に、もぐりこんでくるペニスにまことは恐れ戦いて叫び声を上げようとするが、胸が詰まって声が出ない。

「イヤ、ヤ、ヤダァ、ヤ、」

突かれた部分からゾクゾクとした嫌な怖気が走る。
身を震わせていたまことの耳に、シュラリ、とまたあの透明な音が響いた。
大きく足を開いた自分の中心に、刀が宛がわれていた。

「物の怪も死ぬのか」

クン、と尻穴に冷たいモノが潜り込み、それが真っ直ぐに身体の中を貫いてゆく。
下腹部からみぞおち、胸の真ん中に、気が遠くなるほどの寒気を感じ、まことはそれから逃げるようにもがき、手を伸ばす。
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