アンテナ2-5

まことは眉を切なげに寄せ、今にも零れてしまうのではないか、という程に目に涙を浮かべていた。
体が動かないのは腰をまことの足に挟まれているからだと気が付いた。
自分の股ぐらが何か固いモノに触れている、と視線を下ろせば、まことの腰が幸村の腰に擦り付けるように動いている。
それを見た幸村の目がくわ、とひん剥いて、顔がどくどくと真っ赤に染まる。
頭の毛から顔の産毛の一本一本が逆立つような気がしてぞわり、と体を震わせた。
その震えに、ますますまことの足に力が入り、股ぐら同士をこすり合わせるように腰を押し付けてくる。

「っく、まことっ殿っ!」

ぐり、と自分の股間が熱いものに擦られて思わず腰が騒いだ。
まことは押し殺した嬌声を上げながら、いやいやと固く目をつぶって首を振っている。

「まこと殿、っく、某のせいでこのような・・・申し訳ない・・・」

幸村のその言葉にまことはもっと首を激しく振り、とうとう涙を零し始めた。
まこと殿はいつも、佐助に破廉恥な行為をされてはこのように涙を流していた。
いつもはそんな佐助を叱りつけ、自分は決してまこと殿をあのように泣かせない、大切に守ってやろうと思っていたのに・・・。
ポロポロ零れる涙をぬぐおうを手を伸ばすと、まことは口から上着を外して小さく「やぁ・・・見ないでぇ・・・」と呟いた。
その震えるか細い声。
赤く逆上せうっすらと汗をかいた顔、上着を噛み締めていた唇は真っ赤に充血し、あふれた唾液でぬらぬらと光っている。
幸村がその顔に見入っていると、閉じていた瞳がそっと開かれて、光の入っていない蕩けた瞳が幸村を見返した。

「っ、ぐ、」

幸村は途端に息が上がり、自分の一物がぐん、と立ち上がったのを感じた。

「んぁ!あうぅ、ゆきむらさ、熱いのあたったぁ・・・っ」

強く押し当てられていた腰で、まことが敏感にそれを察知する。
幸村は腰を離そうともがくが、まことは益々足を幸村の腰に絡めて腰を押し付けてくる。

「く、うっ、まこと殿っ!は、離してくだされ!こんな、っは、破廉恥でござるっ・・・!」

「んっ、んっ、やだぁ、ふぁ、ゆきむらさんの、固くなってるぅ、ん、あたってるのっ、まこのおちんちんにあたってるのぉ!」

まるで寝屋での行為のようだ。
乱れに乱れるまことの姿に煽られ、幸村のモノも引くに引けないところまで立ち上がってしまっている。

「ふぁ、ゆきむらさぁん、んっ、みて、これみてぇ・・・」

いつもならば見るな、見ちゃいやだと訴えるまことが、どこか飛んでしまっている笑みを浮かべながら胸を見て、見て欲しいと上着をめくってゆく。

「あぅ、まこのおっぱい、どっちもおっきくなっちゃったよぉ、こっち、ゆきむらさんがおっきくしてくれたの、すごい、じんじんするよぉ・・・」

ぴん、と立ち上がった乳首は、たしかに先ほどの名残の『ばんそうこう』がくっついている右の方が真っ赤に色づいていて、熟した野苺のようになっている。
ごく、と幸村の喉がなった。

「ゆきむらさぁん、まこ、もういっちゃうの、いっちゃうからぁ、やらしぃおっぱいみててぇ!まこのイく時のおっぱいみてぇ!」

もう、我慢がならないと思った。
幸村はまことの腰を掴み寄せると、自らも強く腰を押し当てて欲望のままにガクガクと擦り付け、背中を丸めてとがった右の乳首にむしゃぶりついた。

「ひゃうぅっ、だめっ、たべちゃだめっ!見るだけなのぉ!あ、あ、あ、ひぁあ、いくぅ、いくいく、出ちゃう出ちゃうぅ!んんー!んっんっ!!」

幸村は舌の上の乳首がビクビクッと痙攣したのを感じた。
今、己の一物と擦れ合っている部分も同じように痙攣して白い精液を吐き出しているのだろうと思うと、先ほど厠で見たまことの痴態が脳裏に浮かんだ。
腰を突き出して今のように痙攣しながら射精をし、自分と目が会うと涙を流して見ないでくれと懇願していた。
裾を必死に伸ばして隠そうとしている下半身には、白い体液がねっとりとかかっていて糸を引いて床に落ちていた。
あの身体が、今自分の胸の中にいる。

「ぐぅ・・・っ!」

幸村は低く唸って、一層激しく腰をまことに擦り付け、思わず口に含んでいた乳首に歯を立てた。

「ーっ!いや、あ、あああぁぁ!」

まことが叫ぶ声も聞こえなかった。
ぎちぎちと乳首を食み、射精に合わせてぐっぐっと腰を押し付ける。

「っく、まこと殿、まこと殿っ!」

はぁ、はぁ、と荒い息を吐きながら幸村はまことの顔を見上げる。
激しい快感に蕩けきり、焦点が合っていないまことの頬を何度か指先でくすぐると、幸村は欲望のままに唾液をこぼしている赤く腫れた唇に自分の唇を重ねようと顔を寄せた。


「は〜い!旦那、ここまでね!それはだめ!」

むちゅ、と幸村が唇を落としたのは固く冷たい手鏡だった。

「・・・佐助・・・」

「・・・え、旦那、なんか声低くない?!いつもだったら、『さささささ、佐助ぇ!』でしょ?!」

そう言いながら、佐助はさっさと幸村の下からまことを引っ張り出しパパっと身体を清めて服を変えてやっている。

「まったくまこちゃんったら、こんな事で俺様の訓練から逃げようとしてたわけ?」

幸村が乳首にはった『ばんそうこう』をちゃちゃっと剥がし、でもちょっと考えるそぶりを見せると手早く両胸に『ばんそうこう』をきれいに貼付け直している。
それをどこか苦々しく思いながら、あっという間にきれいになってしまっても、どこかぼぉっとしているまことに笑みを漏らす。

「・・・旦那、俺様たちはいつかあっちに帰るんだよ。」

自分の体を清めてはじめた幸村の背中に、佐助の固い声が掛かる。

「何を言っておる。当たり前だろう?」

そんな事は分かっている。
だからといってまこと殿と口を合わせるのに何か支障があるのだろうか?
幸村はきょとん、とした顔のまま佐助を見返すと佐助は意外そうに瞬きを繰り返す。

「え〜っと、・・・無自覚なの?俺様の考え過ぎなの?悩み過ぎなの?好機があったら俺様、迷わずいただいちゃうべきなの?」

俺様、旦那みたいに単純になりたい・・・と佐助はトホホと肩を落とし、胸に抱いていたまことに頬ずりをする。
それを幸村が鉄拳制裁でもって止めさせようと拳を振りかぶった瞬間、まことの気が戻ったらしく、「ん・・・さすけ、さん?あれ?」ときょろきょろしている。

「まこと殿!先程は、」

「まこちゃん、おはよ!さてさて、訓練の続きでもしますかね?」

幸村の言葉を遮って佐助がにんまりと笑いながら抱き込んでいるまことの顔を覗き込む。

「訓練って・・・あ!佐助さんっ!さっきはあんな・・・!」

まことは呆けた頭に色々な出来事を思い出し、ぷん!と頬を膨らませて佐助の胸から飛び出した。
そうして近くにいた幸村の傍により、「もう訓練はしません!」と高らかに宣言した。

「でももったいないっしょー?」

「いいんです!佐助さん、もう僕のち・・・胸の事は放っておいてください!」

「え〜それは無理かな?俺様これからずっとまこちゃんの乳首みちゃうなぁ。そしたらまこちゃん、そんな胸当てなんて関係ないくらいに乳首立てちゃうでしょ?そういうの制御できるように、俺様の訓練受けたほうがいいと思うけどなぁ・・・」

「っく!まこと殿!佐助の言う事に惑わされてはなりませんぞ!」

「はい、幸村さん!・・・佐助さん!そうやって僕の事、からかってるだけなんでしょ!怒りますよ!」

まことは自分よりも数段高い所にある佐助の顔を見上げながら、ぷん!と頬を膨らませた。
真面目に怒っているのに、佐助はそんなまことを見て嬉しそうに「あはー、俺様おこられちゃった!」と笑う。

「なんで怒ってるのに笑ってるんですか!もぉ、佐助さんのばか!ばかばか!」

腰に手を当てて怒っているまことを、佐助は本当に嬉しそうに見つめている。
そんな二人を見て、幸村の胸中は何故か穏やかではなかった。

『・・・旦那、俺様たちはいつかあっちに帰るんだよ。』

先程の佐助の声が耳によみがえる。
幸村にとって当たり前なあの言葉は、一体何を思っての事だったのだろうか。
幸村はもやもやとすっきりしない気分を振り切るように、まことの胸の『ばんそうこう』を剥がそうと上着をめくった佐助に今度こそ思い切り拳を振り落とした。
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