プチトリ!13


くふん、とまことが息を吐いて、目を開くとそこはいつも通りの自分の部屋のベッドの中だった。
薄暗い部屋のドアは少しだけ開いていて、廊下の明かりが細く漏れている。

「・・・生きてる・・・」

廊下の光は眩しいし、自分の布団からは嗅ぎなれた自分の匂いがする。
耳を澄ませば外から風の音と遠く電車が走る音が聞こえてくる。
うつぶせになっていた体をもぞりと起こすと、頭の上から濡れたタオルが落ち、なんだろうと頭のてっぺんを撫でるとそこには大きなたんこぶが出来ていた。

「いたい・・・」

さっきは刀で胸を切り裂かれたというのに、ただただ熱いだけだった。
・・・あれは、夢だったのだ。
知らない男の人とセックスをして、知らない男の人にモノノケと言われて、殺されてしまう、妙にリアルな夢を見たのだ。
布団の上で、うんうん、と頷き自分を納得させていると、薄く開いていた扉がそっと大きく開かれた。

「・・・まこと殿?!目を覚まされたか・・・っ!・・・っく・・・!まこと殿!まこと殿っ!まこと殿お!!誠に申し訳ないっ!某を!某を殴ってくだされまこと殿っ!!!」

「もー!旦那!静かにしてくれよ!・・・まこちゃん、起きたんだね?吐き気とか大丈夫?頭痛くない?ビョウイン、行こうか?」

見慣れた二人がベッドに起き上がったまことを見て、瞬時に飛んでくる。
心配そうに頬を撫でられ、腕に縋りつかれ、まことは二人の体温の暖かさに鼻の奥がツンと痛くなったのを感じた。

「・・・っく、ひっ・・・、ふぇ、ゆきむらしゃ・・・っ、さしゅけさっ、ふ、え、」

二人に抱きつきああーん、と大声で泣き始めたまことを、幸村と佐助はしっかと抱きしめ返す。

「大丈夫、大丈夫、俺様がちゃーんと旦那に反省させておくから」
「ぐっ・・・!まこと殿、本当に、本当に申し訳ないっ・・・!・・・もし傷が残ったなら、某が責任を持って、まこと殿とめ、め、めめめめ、めお、夫婦に、ぐあッ!?」

ダン!と床を踏む大きな音が聞こえたのと同時に幸村が飛び上がり、その場に蹲る。
しゃくりあげているまことが不思議そうにそんな幸村を見下ろすが、佐助は「いいのいいの、まこちゃんは気にしないで。ほら、おいで。泣いちゃう程頭痛い?」と何でもないようにまことに向かって大きく腕を広げる。
佐助の胸に身体を寄せるとぽんぽん、と背中をあやされ、その優しい手つきにまことは違う、違うんです、とふるふる首を振り涙を振り払う。

「こわい・・・怖い夢を見たんです。・・・だから、幸村さんと佐助さんの顔見たら、ほっとしちゃって・・・」

そうしてにっこり笑うまことに、二人はホッと息をつく。
「頭はもう、痛くないです。・・・でも、なんで頭にコブができてるんでしょう?」と首を傾げるまことに幸村はぐっと黙り、佐助は苦笑を返しながら「それは下で話すから。ご飯は食べられる?夕飯作ってあるから」と胸のまことを抱き上げる。

「ひゃ、歩けますっ!歩け・・・っ?!」

体を抱き上げられた瞬間に、ごぷ、と尻穴から何かが溢れたのを感じ、まことはぞっと背筋を粟立たせる。

『・・・や、これ、これって・・・!』

そのまま内股に流れてくるそれは、先ほど中にたくさん出してもらったあの強面の男の人の、アレなのではないか。でも、アレは全部、夢で、でも、この感覚は、でも・・・

佐助に抱きかかえられたまま、まことは顔を青くしてぐるぐると頭を悩ませる。

「・・・?どうしたのだまこと殿?!顔色が!」
「あれ?ホントだ、まこちゃん大丈夫?!・・・って、あれ?」

じわ、とパジャマに染み込んだそれに気付いた佐助がさっとパジャマの裾を捲くり、尻を覗き込む。
途端、ふわりと鼻についたまだ新鮮な精臭に、まことも佐助も動けなくなった。

「・・・佐助?まこと殿?」
「・・・ホント、まこちゃん、コレ、どうしたの?」

完璧な笑顔を顔に貼り付けた佐助にぐわし、と尻たぶを鷲掴みされ、また尻穴からぷじゅ、と溢れ出すそれは間違いなく精液だった。

「わ・・・わからないっ!知らないです!だって、だってアレは夢で・・・っ!夢なのに!こ、こんなの知らないですっ!」

ふるふると首を振るまことに、佐助は冷たい空気を噴き出しながらも「そんなに首ふっちゃダメじゃない。ま、下に行ってゆっくりとそのユメの話、聞かせてよ?」と妙に優しい猫なで声をかけてくる。
あの強面の男の人よりも、あの壮年の男性よりも、今の佐助さんのほうが百倍怖い、とまことは歯をカチカチ鳴らしながら、ただただ佐助の腕の中で固まっている事しかできなかったのだった。
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