プチトリ!8


目の前の男の人は胸元と腰を縄で後ろの柱に括り付けられている。
太く、硬い腿に乗って男を跨ぐように座ると、腰に回っている荒縄が丁度自分のペニスに当たる事に気がついたまことは、自分を引き寄せようとする足にいつまでも逆らう事ができなくなり、とうとう自分から抱きつくと小さく腰を揺すり始めてしまった。

『ちょっとだけ、ちょっとだけ、ぐにぐにって、男の人にばれちゃ、だめ、だめなのに、・・・あっあっあっおちんちん、おちんちんぐにぐにって、あぁぅ、きもちいの、きもちいよぉ・・・!だめ、ぐにぐにってきもちよくて、とまらなくなっちゃう・・・!』

初対面の男にこんなはしたない事をしているなんて知られてはいけない、気付かれてはいけない、と思いながら、まことは久しぶりに感じるペニスがつぶれ、捏ねられる快感にあっという間に理性を溶かしてしまう。

『いい、においなの・・・ぅン、おちんちん、じくじくってするぅ・・・』

顔を埋めた胸元から香る体臭さえペニスに痛いほどの快感を送ってくる。
まことは吸い寄せられるように開いた胸元へと舌を伸ばそうとしたが、こつんと頭を叩く何かに顔を上げる。
どこかぼんやりとした視界には、僅かに目を見開いた男の顔があった。
そんな顔もかっこいい、としばし見つめ合っていると、むぐ、と白い布を噛んでいる唇が動き、まことはその唇がかさかさと乾き、割れている事に気が付いた。

「くち・・・?」

はぅ、と熱い息を漏らしながらつぶやいた言葉に、男は見開いた瞳はそのままに、こくりと小さく頷く。
いたそう、痛いのかな?とまことは膝立ちになり、男の背中に回していた腕を戻すと、その精悍な頬に触れる。
見下ろした男の頬にはプツプツとした無精髭が生え、その感触をつりつりと何度も指先で味わうと、ヒクリと頬が戦慄くのがたまらない、と思った。

まことはもう目の前の男の人がまったく怖くなくなってしまった。
だってこの人は柱に頑丈に縛り付けられているし、口だってこうして布で締められてしまっている。

理性がなくなり大胆になったまことには、物言いたげにキッと自分を睨み付けてくる視線すら腹の底から背筋をぞくぞくと粟立たせるものにしかならない。

「唇・・・割れてるの・・・いたそう」

そ、とその唇を撫でると、頬とはまた違った柔らかい感触が指先に残る。
乾いてるから割れちゃうのかな、とまことはうっすらと唇を開き、吸い寄せられるように男の唇に顔を寄せる。
そんなまことに小十郎はギョッと眉を上げ、近づいてくる顔を避けようと首を振るが、細腕ながらもまことの渾身の力でがっしりと頭を抱え込まれてしまう。

「っ、ぐ、むっ!」

止めろ、という小十郎の声はもちろん音にはならず、蹴り上げようにもまことはぴったりと小十郎に寄り添っていてそこまで足も上がらない。
ぎっと目を見張った小十郎の視界に、うっとりと半目に閉じられたまことの顔がじわじわと近づいてくる。
本当に、まったく、こいつは何者でどういうつもりなんだ!と怒気を含んだ視線を送るがまことは意に介する様子もなく、とうとうぴちゅ、と小さな音を立て、食いしばった下唇にぬめった暖かいモノが触れてしまった。
まことは舌先にあたる、乾いた柔らかい皮膚の感触にくふん、と満足げに喉を鳴らすと荒れた唇をそっと食み、舌先でチロチロと舐め上げる。
唇の端から端を舌先でなぞり、垂れ落ちた唾液を顎先から舐めあげられ「おひげ、ちくちくして、きもちいいの・・・」とほお擦りをされる。
興奮して涙が張ったまことの瞳に己の情けない顔が写りこみ、小十郎は思わず目を瞑る。
そうなると、常の女からの愛撫と変わらぬその行為に小十郎の背筋にビリ、と電流が駆け抜けてしまうのだ。
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