アンテナ2-4

「ん、・・・ん?」

幸村の前で、まことは一生懸命に『ばんそうこう』を胸元に当てては剥がし、剥がしては当てて、小首を傾げている。
何気に不器用なのだな、と幸村はそれを微笑ましく見て「まこと殿、某にお貸し下され!」と手を上げた。
一瞬まことはパチリ、と目を見開いたが、ニコニコと笑う幸村を見ると「・・・よろしくお願いします」と頬を染めて『ばんそうこう』を手渡した。



上着を胸の上まで捲り上げ、桃色に染まった顔を隠すように背けているまことを目の前に、もしかすると自分は判断を誤ったのだろうか・・・と幸村は思った。
まこと殿と自分の間に流れる空気が何やらくすぐったい。
こんな空気を体験するのは生まれて初めてで、どうしたものかと不思議と熱くなる耳たぶを引っ張って、んん、と咳払いをした。

「ん、・・・では、まこと殿、失礼致す」

「・・・は、い・・・」

語尾を震わせ、上着を握る手にきゅ、と力が入るのが見える。
それをいじらしい、と幸村は思い、できるだけ優しくこれを貼ってやろうと誓った。
ふん!と息を止めて集中すると、慎重に右の乳首に「ばんそうこう」を優しく乗せる。
ふわり、としたもどかしい感触に、まことの身体かピクリと動く。

「んっ・・・」

「だ、大丈夫でござるか?痛くないでござるか?」

「ふふ、痛くないです・・・ん、だいじょ…ぶです…んんっ・・・」

ひく、ひく、と体が時折戦慄くが、まことは幸村の言葉に笑って答える。
「そうか、そうでござるか!」と幸村はそれに安心をして、浮いていた『ばんそうこう』をぐっと押し付け指の腹でぐいぐいと肌に張り付くように馴染ませた。

「・・・っ!・・・っっ!」

「・・・む?お待ちくだされ!」

肌に張り付いた『ばんそうこう』から、桃色の乳輪がはみ出ている。
ふくふくした桃色の肉が、幸村によって強く押し付けられた『ばんそうこう』の上と下からむにっとあふれ出てしまっており、これでは上着を着た時に透けてしまうだろう。
そんな姿を晒したら、また佐助に破廉恥な事をされてしまう、と幸村は慌てて『ばんそうこう』を貼りなおそうとそれの端を爪の先で引っかいて剥がすとそのまま一気にビッ!と肌から引き離した。

「・・・っー!っー!!!」

「むむ・・・、これはなかなか難しいでござるな・・・」

何度か角度を変え、乳首に貼り付けてははみ出てくる乳輪に、またピッと引き剥がし貼り付ける、を繰り替えす。
何度か繰り返した後、そうか、と思いたって、幸村はふわふわした乳輪を指先で挟みこむと、真ん中の穴に爪を当て、グッと挟み、畳むように押し潰す。
肌にめり込んだ乳輪の上に再び『ばんそうこう』を乗せ、指をそっと離しながらぐいぐいと押し付けてゆく。

「おぉ!まこと殿!!出来たでござ・・・る?・・・む?」

桃色の乳輪はすべて『ばんそうこう』の下に隠れ、完璧に貼れた!と思い指を離したが、今度はその『ばんそうこう』の中心が妙に膨れている。
何事か、と端をつまみ、今度はすべてめくり取らないように少しずつピリ、ピリリと剥がしてゆくが、粘着力が高いせいか勢いがないとなかなか肌からはがれない。
桃色の肉がなかなか剥がれずに『ばんそうこう』に張り付いて伸びてしまっているのを爪で引っかいて取りながら、なんとか半分めくり上げると、先ほど爪で押し込んだ乳輪の真ん中の穴から、何かがぽち、と頭を出している。

「む?」

これのせいで『ばんそうこう』が浮いているのか、と思い、幸村はそれを乳輪の中に戻そうとグッと爪で押しつぶした。

「・・・ヒッー!ンアァア!アアアーッ!!」

甲高い叫び声が意外な程近くで聞こえ、驚いて身を起こそうとした腰をぐ、と何かに引き寄せられた。

「な!?・・・ぬ、ぉ、おおおおおお?!まこと殿ぉぉぉ!!!」

我に返ると、自分はとんでもない体勢をしていた。
まことの足の間に体を入れ、乳首に熱中するあまりにその薄い胸板に体重を掛けて押し倒してしまっている。
・・・そうだ、自分は何をしていたのか。まこと殿の乳首に『ばんそうこう』を貼っていたのではなかったか!まこと殿の敏感な場所なので、慎重に、慎重にと思っていたのに、一体自分は何をした?!
柔らかな乳輪の肉に爪をたて、あまつさえ敏感な乳首にも無体な事をしたではないか!

「まこと殿!かたじけなっ、・・・まこと、殿・・・?」

顔を上げると、めくり上げた上着の裾を口に銜えて、必死に声を押し殺しているまことと目が合った。
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